どういう神経
二月二十七日
黄色い水仙のアップリケはきれいだな
と書いてある手紙を読んで
何を言いたいのか分からないと言うのは
どういう神経か分からない
谷川俊太郎 「詩めくり」
やっぱり谷川俊太郎は天才だな。
私もこれくらい堂々と言いたいものだ。
「ジップロックコンテナは便利だな
と書いてあるブログを読んで
何を言いたいのか分からないと言うのは
どういう神経か分からない」
なんて。
そしてある日、きらきら光るものを見つけたのだ。おしっこシートの上に。それはまるで味の素のような小さな結晶。
…ついに来たか…来てしまったか。きらきら光る結晶を前に、目の前が暗くなった。
このきらきら光る憎いやつの名はストルバイト。猫の尿結石だ。人間と同じで男子のほうがかかりやすい。
職場の猫飼い先輩オスカルさん(仮名:ご主人はフランス人)のスコティッシュくんも尿疾患があるという。それで「キラキラしてた…」と告げると「あああ!でも早期発見なら薬で治るから!ひどくなるとトイレで動かなくなる。そうすると病院代は1回で2万5千円」とのお話をいただいた。
ヤバい、これはすぐさま病院に連れて行かなければ。
ねこまき「ねことじいちゃん (メディアファクトリーのコミックエッセイ)」より
しかし。そこでハタと考える。人間なら病院に行ってから紙コップに採尿すればいいが、猫はそうそう都合よくおしっこしてくれないだろう。おしっこを持っていかなければ診断してもらえないのでは?二匹いるのをわけてそれぞれ採尿できるだろうか・・・。
不安に駆られ動物病院に電話で問い合わせたところ、採尿していくと早いが、そうでなくても大丈夫だとのこと。しかし、オスカルさんは「採尿していかない場合、尿道に管を入れられるので、痛そうで可哀想」だと言う。
そうなのか。ただでさえ2月に去勢してタマをとったばかりのデリケートなヤングボーイズだ。管を入れられるなんて私だって震え上がるほど嫌だものな。それなら採尿しよう、頑張ろう。
システムトイレはこんな時のために、おしっこシートをひかずにおれば、下の容器におしっこが溜まり、回収できるという構造になっている。
その夜の私は、徹夜してもかまわぬほどの覚悟で、常にトイレをチェックし、おしっこはまだかー、おしっこしないのかー、と猫の様子を伺っていた。
そして採取できたのがこれだ。
使用したのはジップロックコンテナの130ml。絶対にまちがって食品に使用しないよう油性ペンで印を書いた。
そして翌朝まで冷蔵庫に保管。
人は言うだろう。冷蔵庫に猫のおしっこを入れるなんてどういう神経?
ジップロックをおしっこ保管に使うなんて、どういう神経?
それらの雑音に対して、私も谷川俊太郎のように堂々と言いたいのだ。
「ジップロックコンテナは便利だな!!!!」
翌朝はこれら二つのコンテナをさらにジップロックのフリーザバッグに入れて病院に持参した。
こちらが我が家のストルバイト王子。
二匹分の尿検査と薬の処方、点滴、注射、診察でしめて1万円。猫の医療費のなんと高額なことよ。
もちろん完治してほしいが、これからも尿には注意が必要だ。そんな時に役立つもの、そう、それはジップロック。
ジップロックは便利だな。本当の本当に便利だな。
今日言いたいことはただそれだけ。