2019-03-01から1ヶ月間の記事一覧

水の都

うちの母は人にあれこれ口出しするのが好きなタイプで、そこかしこに余計な首を突っ込むが、受け入れられないことも多く、時に怒り、時にため息をつき、そして時には芝居がかった口調で、こんなことを言う。 「もういいわ。馬を水辺に連れて行くことはできて…

風に吹かれて

若さというのは傲慢なもので、母から「子供の頃は木の冷蔵庫を使っていた。冷却用の氷を買いによくおつかいに行かされた。流し台は石だった」という思い出話を聞かされた時には「木!石!!…なに?この人石器時代の人なの?」と思ったものだ。 しかし、平成…

どういう神経

二月二十七日黄色い水仙のアップリケはきれいだな と書いてある手紙を読んで 何を言いたいのか分からないと言うのは どういう神経か分からない 谷川俊太郎 「詩めくり」 やっぱり谷川俊太郎は天才だな。 私もこれくらい堂々と言いたいものだ。 「ジップロッ…

目の黒いうちは

この前、同僚のタカハシさんが営業からの電話で「ちょっと待てよ!」と言われたらしく、「キムタクかよ!」と職場で盛り上がった。 どんな映画やドラマを見ていても、誰が言っても、「待てよ」と言われればキムタクを思い出してしまう。 別に意識高いアピー…

ウィーンはいつもウィーン

小学校高学年になると音楽の授業は音楽室に集められて、月に1度はレコードでクラシックを聴く音楽鑑賞があった。ドキドキしながら音楽室に行って、最初の音楽鑑賞はヨハン・シュランメルの「ウィーンはいつもウィーン」だったと思う。 変なタイトル、という…

息を呑む日々

昔、劇団で働いていた頃、千穐楽間近の公演のチケットを予約したお客様にこう聞かれた。 「当日はビデオ撮影してもいいですか?」 いやいや、ダメです。ダメ!何言っちゃってるのかしら、とお断りしたらお客様はちょっとお怒りで言った。 「もうすぐ千穐楽で…