日はまた昇る

七月六日、日曜日の正午、フィエスタが爆発した。そう表現する以外、形容のしようがない。
(中略)
フィエスタはいよいよ本番だった。それは七日間、昼も夜もぶっ通しで続くのだ。路上のダンスもつづき、酒もつづき、喧騒もやむことがない。その間に起こることは、フィエスタだからこそ起こることばかり。ついには何もかも現実とは思えなくなり、辻褄の合うことなど何もないように思えてきてしまう。だいたい、フィエスタの最中に辻褄合わせのことを考えたりするなど、場違いなのだ。
    アーネスト・ヘミングウェイ日はまた昇る

日はまた昇る (新潮文庫)

日はまた昇る (新潮文庫)

今回のラグビーワールドカップが私にとってこんな感じだ。9/20に爆発したのだ。
それからはずーーーーーっとラグビーの日々だ。
正直日本がこんなに頑張るとは思っていなかった。始まる前は日本よりも海外チームのプレーを楽しみにしていた。アイルランドには負けると思っていたし、スコットランドにだって危ないと思っていた。決勝トーナメント進出なんて夢みたいだった。
準々決勝の南ア戦はリセールもチャレンジしたけれど、やっぱりチケットはとれなくて、横浜のファンゾーンで観戦。19:45キックオフなのに、14時着で、もうファンゾーンも満員だった。ギリギリ座るところを見つけられてよかった。
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延々と試合開始を待つ間、かえる姉さんと二人、「だんだんワールドカップが終わりに近づいてしまうことが寂しい」なんて話をした。
試合のない平日、録画したまま見ていなかった開会式を見ると「ああ、あの日にもう一度戻りたい、もう一度初めからワールドカップを楽しみたい」と思ってしまう。
「そうねー、もっと戻れるなら1年半前、チケット買うところに戻って、もうお金に糸目をつけずに準々決勝も準決勝も全部買っておきたかったねー」なんてかえる姉さんも笑う。
夏休みが終わりに近づいた夕方みたいな切ない気持ちと、ここからがものすごく楽しいんだ!っていうワクワクする気持ち。

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予選NZ戦前、ウォーミングアップ中のデクラーク
試合開始が遅かったので、翌日ヘロヘロで行った会社で、同僚たちに「日本負けちゃったね、残念だったね」と言われたけれど、残念という気持ちはあまりなくて「本当によくやった、お疲れ様」という気持ちだった。
これで残り試合はいろいろ心配したり息が止まったりしないで、ちょっと安心して純粋に楽しめる…という気持ちもあった。

昨日はまた横浜のファンゾーンでイングランド×ニュージーランドを見た。日本が負けたから結構空いてるだろうなと思いきや、割と満席でびっくり。
オールブラックスファンが多くて、なぜか後ろに座っていたアイルランド人軍団もオールブラックスの応援だった。オールブラックスに負けたから、優勝してほしかったんだろうか。
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ハカを見守る陣形も、オーウェン・ファレルもメチャメチャカッコよかったイングランド。すごくレベルの高い、いい試合だった。
よく晴れて、みなとみらいの夜景がキラキラと海に光るのを眺めての帰り道、「ねえ、4年に一度じゃ長くない?2年に1回やってほしいんだけど…」とかえる姉さんが言う。ホントね。
今日はさすがにファンゾーンには行かず、お家観戦。
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寒くなってきてイチャイチャ度の増した猫を横目に洗濯したり掃除したり、明日のお弁当の準備したり。そうして18時のキックオフに備える。聞けば、かえる姉さんも同じようにバタバタしてたそうだ。だよねー。
かえる姉さんの会社にはウェールズの熱狂的なファンがいるらしく、今日もリセールでチケットを買って見に行っているらしい。
ハーフタイムにかえる姉さんに「ウェールズの魅力がちょっと謎だけど、気合入ってるね」とLINEしたら「うん、ウェールズ謎だよね…」との返事だったので安心した。

さあ、これでいよいよ決勝の組み合わせが決まった。イングランド×南アフリカ。チケットは買ってある。デクラークとファレルを目に焼き付けて来よう。
その前に3位決定戦の日は有給をとってファンゾーンでニュージーランド×ウェールズ戦を見るつもり。
楽しみな気持ちが半分…いや3割かな…。これで終わってしまうんだ…という気持ちの方が強い。
一生に一度のワールドカップがもうすぐ終わってしまうんだ…。

祭りが終わる、がらんとした気持ちになるのが怖くて、「日はまた昇る」の最後を読み返して予習したりしている。
日はまた昇り、また入る。きっとこの祭りが終わっても、また楽しいことがある。
「面白いじゃないか。そう想像するだけで」
そんな風に強がるんだけども。