彗星

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小学生の頃、ハレー彗星がやって来るというので世間は大騒ぎだった。
ドラえもんハレー彗星の回があったのもあの頃だったんじゃないかと思う。
小学何年生とかコロコロコミックとか、そんなので読んだような気がする。
75年か76年周期でやって来るというあの彗星が次に現れるのは2061年らしい。
その頃私は85歳だな。ギリ生きてるかしら。死んでるかしら。

そうして久しぶりにやって来る彗星みたいに、小沢くんの新曲がやって来た。

小沢健二『彗星』MV Ozawa Kenji “Like a Comet”

高校生の頃、ラジオで繰り返し繰り返し流れた「今夜はブギー・バック」ですとーんと恋に落ちてから、ずっとずっと小沢くんが好きだった。
それでも、ひふみよの後くらいから「なんだか小沢くんも大人になっちゃったんだな」と思ったり、「私も大人になったんだな」とか「もういいかな」とか思った時期もあったんだけれども、久々に小沢くん!!な小沢くんの曲で、イントロから「ああ、小沢くんが帰ってきた」と思った。

そして時は2020
全力疾走してきたよね
1995年
冬は長くて寒くて
心凍えそうだったよね

そんな風に始まるから、高校の教室やラジオで「今夜はブギー・バック」を聞いていた頃のことを在々と思い出して、いろいろあったなあ、と感慨に耽る。
いろいろあって、大人になって、でも結局彗星のように戻ってきたり、変わらなかったり、やっぱり小沢くんが好きだ。

先週の金曜日はミュージックステーションに小沢くんが出るというので、チコちゃん見てからそわそわ待っていた。
Mステ待ち、なんて何年ぶり、いや何十年ぶりかしら。すっかり気分は高校生で、ジャニオタの同僚や小沢好きな友人に「Mステ見てる?」なんてLINEしたりする。
あの頃、LINEなんてなかったけど、電話したりFAXを使ったりキュンキュンしながら友達とユニコーンTMネットワーク岡村靖幸や小沢くんのこと、話してたなあ。

So kakkoii 宇宙

So kakkoii 宇宙

そして今日は小沢くんの新しいアルバムが届いた。
朝からずっと「今日届く」と心待ちにしていた。家に帰ってコートも脱がずにまず封筒をあけた。

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ちょっとバラバラになっちゃいそうな装丁だったのでジップロックに保管。
いやはや、CDアルバム1枚にこんなにトキめくなんてそれこそ高校生の頃みたい。

ずっと好きだったものは、その時間の分だけもっと好きになるな。
ずっと待っていたものは、その時間の分だけもっと嬉しくなるな。

彗星みたいにまた巡ってきた、あの頃のときめきだとか、好きな気持だとか、そんなことがものすごく幸せで嬉しい。
So Kakkoii
So Happy

どうもありがとう、小沢くん。

あの頃は


和田アキ子 ♪古い日記

小学校高学年の頃の担任の先生がなにかにつけて「あの頃は~ハッ!」と歌っていた。和田アキ子の歌らしいということは噂で知っていたが、曲名を知ったのは今日だ。曲の内容はいまだに知らない。「あの頃は~」しか知らないのだ。

それはさておき、あの頃は~…。
あの頃は、私は周りの子より大食いだったし早食いだった。
中学高校と大学社会人、女子たちはいかに少食に見せるか、ダイエットをするか、お弁当箱を小さくするかに躍起になっていたけれど、そんなこと露とも思わなかった。
誰しもだいたいそうであるように中学高校が食欲のピークで、食パン1斤平気で食べられたし、緑のたぬきをおやつにペロっと2つ食べて母に怒られた。社会人になってからも、社食のご飯は大概の女子が小ライスを選ぶところをいつも普通ライスだったので、食堂のおばちゃんに顔を覚えられていた。
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そんな訳でずっと自分は大食いだと思ってきたが、弟の弁当箱のサイズを見たとき、若い男子が居酒屋でものすごい量を注文するとき、法事のあとの精進落しで弟のお膳に親戚たちから分け与えられたご飯やおかずが山盛りになり、それらが綺麗に片付けられていくのを見たときなどに「あれ、私は全然大食いじゃないな」と衝撃を受けたものだった。
そして年齢とともにだんだん食べられなくなりだしたとき、ああ、もう私に老後がやってきたのだな、とさえ思った。

水曜日は、はてなのお友達くみちょうさん(id:Strawberry-parfait)とマミコさんに神保町の素敵なお店に連れて行ってもらった。
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ラグビーワールドカップ南アフリカが優勝したから南アフリカのワインがいいですよ」とか勝手なことを言って、南アフリカのワインを頼んでもらった。最近お酒もあまり飲めないので私は味見だけ。
鳥ハツを根菜と煮込んだやつとか、クミンシードの練り込まれたパンとか、パプリカパウダーがしこたま振られていて、アボガドディップで食べるフライドポテトとか、どれもとっても美味しかったが、すぐにお腹いっぱいになってしまい、くみちょうさんとマミコさんに「少食なの?」などと尋ねられる。
…いや、全然そんな予定ではなかったのですが、図らずも少食に。。。

繰り広げられるくみちょうさんの大食いエピソードなどものすごかった。
私は人生において今まで一度も、食べすぎで腹痛をおこして夜中に病院に駆け込んだことなどない。この人ホントに本気でフードファイト出れるんじゃないかな…とさえ思った。
はー、もう私はちょびっとしか食べれない、下手すればシウマイ弁当さえご飯を残してしまう可能性を抱えたおばあさんだよ…。
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土曜日はこれまたはてなのお友達いもこさん(id:xx_green-heuchera_xx)と崎陽軒のランチバイキングへ。
前日から、シウマイ弁当食べたいなーと思っていたけど「明日は崎陽軒だから」とガマンしていた。当日、体調もバッチリだ。横浜駅へ向かう道中で既におなかがすいていた。
おかげさまで、私、久々にたくさん食べることができた。いもこさんの2倍はゆうに食べたと思う。
久々に言われた。「まだ食べられるの?すごいね」
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シウマイも20個くらい食べた。デザートももちろんたくさん食べた。
ああ、私まだこんなに食べられるんだ、まだいける、まだ全然大丈夫。謎の希望が胸に満ち溢れる。

以前、谷川俊太郎の講演会に行ったとき、谷川俊太郎が言っていた。
「僕くらいの老人になると、朝目が覚めて、体中どこも痛くない日がそんなにない。どこも痛くないというだけで幸せです」
そうなのか…としみじみ聞いていたが、今その気持をなんとなく理解する。たくさん食べられる日があるというだけで幸せです。
生きる希望が湧いてくる。まだ頑張れるな、と思う。

まあ、その後、たくさん歩きまわってもお腹もすかなかったし、夕ご飯も食べなかったけども。
あの頃は、あの頃なら、きっとまだパフェなんかも食べれたのかもしれない。
胃腸の強靭さも遥か遠くになりにけり。

イノセント・ワールド

ついに、ついに終わってしまったラグビーワールドカップ
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11/1、3位決定戦の日は有給をとった。臨港パークのファンゾーンへ向かう途中、ランドマークプラザで「決勝まであと1日」のサインボードを見て、しみじみしてしまい写真を撮った。ラグビーボールをポンポン放り投げながら歩く、ウェールズファンのお兄さんたちも「あと1日だぜ?」と言って写真を撮っていた。

決勝の日は気持ちよく晴れた。
いつもは市営地下鉄の新横浜駅から一番スタジアムに近い出口を出てしまっていたのだけれど、JR新横浜駅が決勝に向けて気合を入れているというので、この日は新幹線口の方へ。
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新幹線口は既に大声で歌う大男たちに占拠されていた。
イングランドの白いジャージの方がちょっと多い。
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日本人のハチマキ率はほぼゼロなのに、外国人たちは「それはレプリカジャージの一環なの?」と思うくらいみんなハチマキを締めていた。「日本」だの「必勝」だの「闘魂」だの「合格」だの。
スタジアムへ向かう道筋のパブは全て外国人で埋まっていて中華料理屋まで乗っ取られている。どの店先でもビール片手のイングランド人たちがSwing Low, Sweet Chariotを歌っている。
中にはコンビニで瓶ビールを仕入れてくるツワモノもいた。アサヒ中瓶をさ、そんな普通に瓶ハイネケンみたいに4本も抱えて持ってきて、直で飲む?まあ500ccだからロング缶みたいなものかもしれないけどさ…。
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この派手なスーツ軍団はフランス人で、帰り道は大声でラ・マルセイエーズを歌いながら歩いていた。
今日で最後だから、スタジアム前のいろんなイベントも見て回って、フェイスペイントをしてもらったり読売新聞の号外フレームで写真をとってもらったり。
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このお祭りも今日で終わっちゃうんだね。夏休みが終わるときみたいに切ないよ、とかえる姉さんが言う。本当に同じ気持ち。
きっとみんな同じような気持ちなんだろう。こうやって、眼下の人の波をずっと見つめている人たちがたくさんいた。
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夕焼けが綺麗だからまた切なくなるし、三日月が綺麗でも切なくなる。

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FINALの華やかな入場ゲートにだって。

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ハーフタイムのゲストはリーチ・マイケル、ダン・カーター、リッチー・マコウ。

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リッチー・マコウは最後にリーチの運転するランドローバーでウェブエリスカップも運んできた。

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南アフリカ、本当に優勝おめでとう。
前半のイングランドの激しい攻撃をギリギリのところで防ぎきったディフェンス力、すごかった。コルビのトライ、かっこよかった。スクラムがすごく強くて「え、日本て相当頑張ってたんじゃない!?」なんて再確認した。

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帰ったら本当に終わっちゃうから、帰りたくないなあ、と思いながらいつまでもグラウンドを見つめ続けていた。

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そしてまた、人の波を見下ろしながら、かえる姉さんと「みんな帰らないでずっと日本にいて、まだ試合やってくれたらいいのにね」なんて話をする。
今日村上晃一さんのコラムを読んだのだけれど、冒頭の「よく泣いた。よく笑った。嬉しくてガッツポーズした。思わず頭を抱えた。みんなが素直に感情を表現したラグビーワールドカップ2019だった。」という文章に「本当にそうだったなあ」としみじみ共感した。

素直だったし、イノセントだった。どうしてあんなに無邪気に楽しかったんだろうか、となんだか不思議な気持ちになる。
日本が負けた試合の後だって、全然がっかりなんかしなかった。
「日本はよく頑張ってたね」「南アフリカすごかったね」「来週はニュージーランドだね」とワクワクしながら帰った。ただただ楽しかった。
普段なら斜に構えたりもするけど。

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あれはどうしてだったんだろう。一生に一度だから?
野球を見るときとも相撲を見るときともちょっと違う。箱根駅伝高校野球に胸を打たれるような、どこか悲壮感のある感動ともまた違う。
夢みたいだったし、ただ子供みたいに何もかも楽しかった。

終わる前に心配していた、がらんとした気持ちじゃなくて、今はなんだか過ぎ去った青春を惜しむような気持ちでいる。
ただ、ひとつわかったのは「大人の階段を登ってもまた降りることができて、そして無邪気な世界を楽しむこともできる」っていうこと。

またどこかで会えるといいな イノセント・ワールド

innocent world

innocent world

日はまた昇る

七月六日、日曜日の正午、フィエスタが爆発した。そう表現する以外、形容のしようがない。
(中略)
フィエスタはいよいよ本番だった。それは七日間、昼も夜もぶっ通しで続くのだ。路上のダンスもつづき、酒もつづき、喧騒もやむことがない。その間に起こることは、フィエスタだからこそ起こることばかり。ついには何もかも現実とは思えなくなり、辻褄の合うことなど何もないように思えてきてしまう。だいたい、フィエスタの最中に辻褄合わせのことを考えたりするなど、場違いなのだ。
    アーネスト・ヘミングウェイ日はまた昇る

日はまた昇る (新潮文庫)

日はまた昇る (新潮文庫)

今回のラグビーワールドカップが私にとってこんな感じだ。9/20に爆発したのだ。
それからはずーーーーーっとラグビーの日々だ。
正直日本がこんなに頑張るとは思っていなかった。始まる前は日本よりも海外チームのプレーを楽しみにしていた。アイルランドには負けると思っていたし、スコットランドにだって危ないと思っていた。決勝トーナメント進出なんて夢みたいだった。
準々決勝の南ア戦はリセールもチャレンジしたけれど、やっぱりチケットはとれなくて、横浜のファンゾーンで観戦。19:45キックオフなのに、14時着で、もうファンゾーンも満員だった。ギリギリ座るところを見つけられてよかった。
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延々と試合開始を待つ間、かえる姉さんと二人、「だんだんワールドカップが終わりに近づいてしまうことが寂しい」なんて話をした。
試合のない平日、録画したまま見ていなかった開会式を見ると「ああ、あの日にもう一度戻りたい、もう一度初めからワールドカップを楽しみたい」と思ってしまう。
「そうねー、もっと戻れるなら1年半前、チケット買うところに戻って、もうお金に糸目をつけずに準々決勝も準決勝も全部買っておきたかったねー」なんてかえる姉さんも笑う。
夏休みが終わりに近づいた夕方みたいな切ない気持ちと、ここからがものすごく楽しいんだ!っていうワクワクする気持ち。

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予選NZ戦前、ウォーミングアップ中のデクラーク
試合開始が遅かったので、翌日ヘロヘロで行った会社で、同僚たちに「日本負けちゃったね、残念だったね」と言われたけれど、残念という気持ちはあまりなくて「本当によくやった、お疲れ様」という気持ちだった。
これで残り試合はいろいろ心配したり息が止まったりしないで、ちょっと安心して純粋に楽しめる…という気持ちもあった。

昨日はまた横浜のファンゾーンでイングランド×ニュージーランドを見た。日本が負けたから結構空いてるだろうなと思いきや、割と満席でびっくり。
オールブラックスファンが多くて、なぜか後ろに座っていたアイルランド人軍団もオールブラックスの応援だった。オールブラックスに負けたから、優勝してほしかったんだろうか。
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ハカを見守る陣形も、オーウェン・ファレルもメチャメチャカッコよかったイングランド。すごくレベルの高い、いい試合だった。
よく晴れて、みなとみらいの夜景がキラキラと海に光るのを眺めての帰り道、「ねえ、4年に一度じゃ長くない?2年に1回やってほしいんだけど…」とかえる姉さんが言う。ホントね。
今日はさすがにファンゾーンには行かず、お家観戦。
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寒くなってきてイチャイチャ度の増した猫を横目に洗濯したり掃除したり、明日のお弁当の準備したり。そうして18時のキックオフに備える。聞けば、かえる姉さんも同じようにバタバタしてたそうだ。だよねー。
かえる姉さんの会社にはウェールズの熱狂的なファンがいるらしく、今日もリセールでチケットを買って見に行っているらしい。
ハーフタイムにかえる姉さんに「ウェールズの魅力がちょっと謎だけど、気合入ってるね」とLINEしたら「うん、ウェールズ謎だよね…」との返事だったので安心した。

さあ、これでいよいよ決勝の組み合わせが決まった。イングランド×南アフリカ。チケットは買ってある。デクラークとファレルを目に焼き付けて来よう。
その前に3位決定戦の日は有給をとってファンゾーンでニュージーランド×ウェールズ戦を見るつもり。
楽しみな気持ちが半分…いや3割かな…。これで終わってしまうんだ…という気持ちの方が強い。
一生に一度のワールドカップがもうすぐ終わってしまうんだ…。

祭りが終わる、がらんとした気持ちになるのが怖くて、「日はまた昇る」の最後を読み返して予習したりしている。
日はまた昇り、また入る。きっとこの祭りが終わっても、また楽しいことがある。
「面白いじゃないか。そう想像するだけで」
そんな風に強がるんだけども。

いつもどおり

台風がくる、史上最強だ、15号よりヤバい、先週はずっとそんな嵐の中にいた。
木曜日にスーパーに行ったらパンの棚はすでに空っぽだった。
セブンイレブンでまだ食パンが買えたから良かったけれど、みんな着々と備え始めている。これはヤバいな、と心の中の嵐が少し強まった。

それで装備を点検する。水は地震に備えていつも2L×12本置いてある。増税前の駆け込みの嵐にもノセられていたおかげで日用品や梱包テープは揃っていた。15号襲来のあとに慌てて買ったラジオと電池もある。
少しは戦えるかも。やはり戦いには準備が必要なのだ。準備と想像力、それから腹をくくること。

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我が子を守り抜く決意をした母親みたいな顔をする猫
あとは神社にお祈りだ。同僚には笑われたけれど、天災なんて神頼み以外ないじゃないか。史上最強なんて言われる台風を乗り越えて、来週も「普通の生活」ができますように。どうか。
「あー今週もまた始まっちゃったー」なんて思いながら出勤できるように。いつもどおりの毎日が訪れますように。
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ウェブ・エリス・カップデザインのハイネケン
12日に新横浜で開催予定だったラグビーワールドカップイングランド×フランス戦は中止になってしまった。お金は戻ってくるけれど、こうなってみて初めてしみじみ「お金じゃ買えない価値」を痛感する。かえる姉さんと「戻ってきたお金で来年の日本代表テストマッチ見に行こう」と話したけど、「この台風のあと、来年がいつもどおりに訪れるだろうか」と不安にも思っていた。

金曜日は職場でみんなで情報交換をして、ハザードマップも確認した後、家に帰って台風を迎え撃つ準備をする。網戸の金具をチェックしてから布ガムテープで固定したり、物干し竿をおろして、ベランダを片付けたり。排水口に詰まりがないかも確認。浴槽のゴム栓をエアコンパテでぴっちり固定してから水を溜めておく。猫もただならぬ空気を察してか不思議そうな顔で逐一後をついてきて、一緒に点検をしていた。

うちは洪水も土砂崩れも特に心配のない地域で、近所に遺跡がいくつもあるくらいに地盤も古くて硬い。万が一の時、近所の小学校は動物の受け入れもしてくれる。だけど猫2匹、合計12kgと荷物を持って豪雨の中逃げられるかと言われればNOだ。豪雨と強風で、もしも窓が割れたりしたなら、私はもう猫と運命をともにするしかないな。

そんなことを考えながらサッシの隙間に新聞紙を詰めた。

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ねこ整備員による点検作業
土曜日の朝は自転車も家に入れた。
そして味噌汁を鍋いっぱいつくり、ご飯を炊いておにぎりも作っておいた。換気扇を塞ぎ、部屋の掃除をして、夕方前にはお風呂も済ませる。ともかく「今のうちに」「電気も水道も通じているうちに」「後で部屋が汚くてイライラしたらイヤ」そんな気持ちだった。
テレビは延々NHKの台風ニュースだ。そんなのを見ているうちに不安が高まるのか、なんだかやたらとお腹がすいて、何度もご飯を食べてしまう。
不安だとお腹がすくのだとしたら、食料困難な戦争中はどれほど怖かったことだろうか、と思う。

もしもこれから電気も水道も止まって不便な生活が待っていても、おなかいっぱいならきっと頑張れる。

幸いなことにうちは本当になんの被害もなく、「いつもの台風」で「いつもの朝」がやってきた。
多摩川は氾濫したみたいだけど、鶴見川相模川は大丈夫だったらしい。
いつか鶴見川流域センターでみた、「いざというときには水没してでも流域を守る」気概をもって作られた日産スタジアム付近の遊水地もきちんと機能してくれたらしい。
そしてそんな日産スタジアムで、日本×スコットランド戦は予定通り開催されるらしい!
すぐさまかえる姉さんと待ち合わせ時間を決め、台風の後片付けをした。
いつもどおりの毎日が来てくれて、予定通りにラグビーの試合が見れるなんて、本当に幸せなことだ。

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試合開始前、映画みたいな色の空。
双眼鏡であたりを見ながら「今日も舘ひろしいるね」なんて話してたらかえる姉さんが「あ!翔くんも来てる」という。嵐の人。
おお、遠目からでもなんと細身でスタイリッシュであることよ。これは週明け、職場のジャニファンに教えてやらないと、と思う。そんないつもどおりの週明けが来てくれるなんてそれだけでも奇跡だ。
ぐったりするほどに集中して試合を見て、叫んで、喜んで、心配して、泣いて。
昨日は嵐の中で不安にかられていて、今日は熱狂の嵐の中にいた。

試合終了後、疲れ果ててしばらく放心状態でかえる姉さんと座り込んでいた。
ほわほわする気持ちで外に出たら、リポビタンDの無料配布があるので列に並ぶ。
「飲まなきゃやってられない」「ファイト一発キメなきゃ帰れない」「どうせ今夜は興奮して寝れないし」「深夜のNHKの録画放送見るし」とか言いながら。
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嵐のあと、いつもどおりの朝を迎えられたこと、いつも以上の夜を過ごせたこと、感謝しています。
ありがとう、神様。

親戚のおじさん

氷河期世代なので、仲間内で結婚している者も少ないし、結婚披露宴を行った者も少ない。
友達もそれほど多くないので、結婚披露宴に出た回数も少ないが、それ故に人の結婚披露宴の印象が強く残っている。
一番驚いたのは、「新郎新婦の上機嫌な親戚」だ。いい気分で酔っ払ってあちこちのテーブルを回り、「今日は来てくれてありがとね!!まあ飲んでよ!!」とビールを注いでくれ、誰の話かわからない昔話を始めたり、涙ぐんだりしてはまたふらふらと去っていく。
小さな居酒屋なんかに行けば当たり前の風景かもしれないが、「見知らぬおじさんからまるで家族のように扱われる」「喜びの輪に強引に巻き込まれる」という状況がなんだかものすごく不思議でシュールな感じで、思い出しても笑ってしまう。

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さてさて、ラグビーワールドカップが始まって、試合を見るぞ!と浮かれて帰ってきたら有料のJsports4でしか放送されてなくて「は?」と思った火曜日、BS1にしたらロッテ×西武戦、ちょうど涌井くんがマウンドに上ったところだった。涌井くん久々に見た。キャーーーー!元気で良かった、涌井くん!…と思っている間に涌井くんは打たれ、ホークスも打たれ、M2が一気に消滅してライオンズの優勝が決まった。ばんざーい。

土曜日は日本×アイルランド戦をみなとみらいのファンゾーンで見る予定で、午前中は整骨へ行った。以前は盆踊りの踊り子が横で施術されていたこともある整骨院。なにげに情報の宝庫で、巨人ファンのおじさんがセ・リーグの状況をあれこれ話していたり、最近親を介護施設に入れたおばさんが介護について延々話していたり、いろいろと勉強になる。
そんな中、土曜日に隣で治療を受けていたおばさんは今夜のラグビーの試合について「日本なんか1点もとれないわよ、ボロ負けするわよ」と語っていた。

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2年前、味スタでのテストマッチ
緑の人たち、確かにとても強いけど、2年前だって結構日本も頑張ってたもの。
ゼロってことはないよ。勝てるとは思わないけど食らいついてほしい…。
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かえる姉さんとそんな話をしながら臨港パークのファンゾーンへ。キャンプ用の椅子を持ってくる人、テント張ってる人なんかもいて、フェスっぽい。試合開始が近づくにつれて、どんどん混雑してくる。
隣に座る酔っぱらいご夫婦と仲良くお話しながらなんだか緊張してきたりして。
別に私が出るわけでもないのに。
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ああああああ、うわああああああ、おおおおおおおお、そんな声をあげながら見て、プレーが途切れるたびに深呼吸した。
後半、福岡くんが出てきてかえる姉さんと「福岡くんだ~♡」とキャーキャーする。逆転トライも決めたので抱き合って喜ぶ。周りの人達ともハイタッチ。

福岡くんのインターセプトからの独走の時にはキヤアアアアアア!と叫んで立ち上がり、試合終了の時にはかえる姉さんとまた抱き合って泣いた。
勝つなんて思ってなかった。うそみたいで、ふわふわしながら歩く帰り道。
「あー、嘘みたい」「なんかもう力入りすぎてぐったりしたね」「あー、でもホント勝っちゃったね」「どうしよう」と、何度も何度も口にする。
代表ジャージを着たままなので、すれ違うおじさんに「イエーイ!」なんてハイタッチされたり、通りすがりの人に「おめでとう」とか言われたり。
駅で飲み物買おうとしてたって知らないお姉さんに「日本勝ちましたね!」と声をかけられる。そして電車の中でネット記事読んでまた泣いたり、エスカレーターですれ違う代表ジャージ親子とハイタッチしたり。

喜びの渦の中に巻き込まれて、嬉しさと、おろおろするような気持ちでかえる姉さんとボソボソ話す。
「なんかさ、これアレだね、あの…人の結婚式みたいだね」
「知らないおじさんとさ、おめでとう、おめでとう、とかさ」「変なテンションでね」「そうそう」
そうして笑い合う。変なテンションもシュールな感じもおかしいし、日本が勝ったことも嬉しいので、バカみたいに笑う。

ああ、ずっとこんな風だったら、こんな気持でいられたら、世の中とっても平和なのにな。
喜びを他の誰かとわかりあう それだけがこの世の中をアツくする
そんな歌を歌っていたなあ、オザケンが。
そう思うと、あの、披露宴の親戚のおじさん、っていうのは幸福と平和の象徴みたいな存在だな。

小沢健二 - 痛快ウキウキ通り

痛快ウキウキに浮かれてはしゃいだおかげで声が枯れ、風邪もひいて日曜日はぐったりしていた。
それでも心はずっと痛快でウキウキしているし、結婚式にいる親戚のおじさんくらいに寛大な気持ちで過ごせる週明け。
ばんざーい!ばんざーい!!

夢のような日々

ついにラグビーワールドカップが始まった。
それこそ清水の舞台から飛び降りるような気持ちでチケットを買った去年が遠い昔のことのよう。

一度飛び降りたら慣れるものなのか、決勝のチケットも買った。
でも日にちが経ちすぎて日程もちょっと忘れていて、大相撲千秋楽のチケットをとってしまい、相撲は慌てて友人に譲った。
7月には日本代表のユニフォームも買って、8月にはチケットも届いたのに、目先の忙しさや、ライオンズの優勝可能性なんかに追われて、全然気持ちがラグビーについていっていなかった。

「金曜日ユニフォーム持ってパブリックビューイング行こうよ!」とかえる姉さんに誘われて、やっと「ああ、本当に始まる」気分になった。
有楽町と横浜で迷ったけど、有楽町は狭そうだから横浜へ。有楽町は入場規制もかかっていたみたいなので横浜にして本当に良かった。

みんなで芝生に座って大きなスクリーンで観戦する。横の巨大テントではビールがもりもりうられていて、中はごきげんな外国人だらけだった。
冷や冷やしたけど勝ってよかった、楽しかったね、とユニフォーム着たまま地下鉄に乗ったら巨人にボコられて意気消沈のベイスターズファンがたくさん乗っていた。
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土曜日はいよいよ日産スタジアムへ。
南アフリカ対ニュージランド。スプリングボクスオールブラックス
14万円のチケットを買う決意を後押ししたのはこのカードだ。
新横浜の駅を出たらもう南アフリカのユニフォームの人だらけで、コンビニもブリティッシュパブもどこもかしこも南アフリカ共和国になっていた。そして相当デキあがっていた。あの人ら、試合終了まで持つのか…と疑問になる。
はー、これがワールドカップかー、と実感。
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オーストラリアやアイルランドの人たちもいて、不思議に思っていたけど、バックスタンド側でパブリックビューイングもやっていたらしい。すごいな、みんな私よりずっといろんなこと調べ尽くして日本に来ているのだな。
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日テレ軍団も来ていた。舘ひろし、遠くから見てもすぐわかった。
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ハカが後ろ向きでちょっと残念。
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南アフリカスクラムハーフ、ファフ・デクラークは小さいのにすごいファイターだった。

翌日はアイルランド×スコットランド
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横浜駅周辺は2つの国のスカート男子が山盛り。あのキルトはノーパンで履くのが正式だと聞いたことがあるので、スカート男子見るたびにパンツ履いてるのか気になってしまう。
スカートめくりをする男子の気持ちがすごくよくわかった。「どうなっているのか」という好奇心。ただそれだけだ。

2年前のアイルランドと日本とのテストマッチの時にも思ったのだけれど、アイルランド人はどこからこんなに湧いてくるのだ、と驚くほど場内が緑色に染まっていた。そしてともかくビールを飲んで上機嫌。世界ランキング1位の余裕なのか、歌ったり踊ったりものすごく楽しそう。
バグパイプを持ち込んで演奏しているスコットランド人もいた。セキュリティのため、長傘まで没収されるのにバグパイプは通過できるのだな、となんか笑ってしまう。
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試合はワンサイドゲームアイルランドの圧勝だったし、日本との試合が心配にもなったけれど、会場みんなでカントリーロードを歌ったり、本当に楽しかった。

ああ、楽しいな。ラグビーワールドカップってものっすごーーーーーーーく楽しいな。
すごくハイレベルな試合も見れる。
みんなが純粋に期待して、楽しそうにしていて「人間ていいものだな」って思ったりもする。
他の地域の試合も気になるし、家に帰ってから録画した試合を見返したり。例えライオンズが負けてもラグビーが楽しいので元気でいられる。
あの時、勇気を出してチケットを買っておいて本当に本当に良かった。
来週再来週は横浜のファンゾーンで日本戦を見る。

一生に一度の夢のような日々。なんて幸せ!