いつもどおり

台風がくる、史上最強だ、15号よりヤバい、先週はずっとそんな嵐の中にいた。
木曜日にスーパーに行ったらパンの棚はすでに空っぽだった。
セブンイレブンでまだ食パンが買えたから良かったけれど、みんな着々と備え始めている。これはヤバいな、と心の中の嵐が少し強まった。

それで装備を点検する。水は地震に備えていつも2L×12本置いてある。増税前の駆け込みの嵐にもノセられていたおかげで日用品や梱包テープは揃っていた。15号襲来のあとに慌てて買ったラジオと電池もある。
少しは戦えるかも。やはり戦いには準備が必要なのだ。準備と想像力、それから腹をくくること。

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我が子を守り抜く決意をした母親みたいな顔をする猫
あとは神社にお祈りだ。同僚には笑われたけれど、天災なんて神頼み以外ないじゃないか。史上最強なんて言われる台風を乗り越えて、来週も「普通の生活」ができますように。どうか。
「あー今週もまた始まっちゃったー」なんて思いながら出勤できるように。いつもどおりの毎日が訪れますように。
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ウェブ・エリス・カップデザインのハイネケン
12日に新横浜で開催予定だったラグビーワールドカップイングランド×フランス戦は中止になってしまった。お金は戻ってくるけれど、こうなってみて初めてしみじみ「お金じゃ買えない価値」を痛感する。かえる姉さんと「戻ってきたお金で来年の日本代表テストマッチ見に行こう」と話したけど、「この台風のあと、来年がいつもどおりに訪れるだろうか」と不安にも思っていた。

金曜日は職場でみんなで情報交換をして、ハザードマップも確認した後、家に帰って台風を迎え撃つ準備をする。網戸の金具をチェックしてから布ガムテープで固定したり、物干し竿をおろして、ベランダを片付けたり。排水口に詰まりがないかも確認。浴槽のゴム栓をエアコンパテでぴっちり固定してから水を溜めておく。猫もただならぬ空気を察してか不思議そうな顔で逐一後をついてきて、一緒に点検をしていた。

うちは洪水も土砂崩れも特に心配のない地域で、近所に遺跡がいくつもあるくらいに地盤も古くて硬い。万が一の時、近所の小学校は動物の受け入れもしてくれる。だけど猫2匹、合計12kgと荷物を持って豪雨の中逃げられるかと言われればNOだ。豪雨と強風で、もしも窓が割れたりしたなら、私はもう猫と運命をともにするしかないな。

そんなことを考えながらサッシの隙間に新聞紙を詰めた。

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ねこ整備員による点検作業
土曜日の朝は自転車も家に入れた。
そして味噌汁を鍋いっぱいつくり、ご飯を炊いておにぎりも作っておいた。換気扇を塞ぎ、部屋の掃除をして、夕方前にはお風呂も済ませる。ともかく「今のうちに」「電気も水道も通じているうちに」「後で部屋が汚くてイライラしたらイヤ」そんな気持ちだった。
テレビは延々NHKの台風ニュースだ。そんなのを見ているうちに不安が高まるのか、なんだかやたらとお腹がすいて、何度もご飯を食べてしまう。
不安だとお腹がすくのだとしたら、食料困難な戦争中はどれほど怖かったことだろうか、と思う。

もしもこれから電気も水道も止まって不便な生活が待っていても、おなかいっぱいならきっと頑張れる。

幸いなことにうちは本当になんの被害もなく、「いつもの台風」で「いつもの朝」がやってきた。
多摩川は氾濫したみたいだけど、鶴見川相模川は大丈夫だったらしい。
いつか鶴見川流域センターでみた、「いざというときには水没してでも流域を守る」気概をもって作られた日産スタジアム付近の遊水地もきちんと機能してくれたらしい。
そしてそんな日産スタジアムで、日本×スコットランド戦は予定通り開催されるらしい!
すぐさまかえる姉さんと待ち合わせ時間を決め、台風の後片付けをした。
いつもどおりの毎日が来てくれて、予定通りにラグビーの試合が見れるなんて、本当に幸せなことだ。

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試合開始前、映画みたいな色の空。
双眼鏡であたりを見ながら「今日も舘ひろしいるね」なんて話してたらかえる姉さんが「あ!翔くんも来てる」という。嵐の人。
おお、遠目からでもなんと細身でスタイリッシュであることよ。これは週明け、職場のジャニファンに教えてやらないと、と思う。そんないつもどおりの週明けが来てくれるなんてそれだけでも奇跡だ。
ぐったりするほどに集中して試合を見て、叫んで、喜んで、心配して、泣いて。
昨日は嵐の中で不安にかられていて、今日は熱狂の嵐の中にいた。

試合終了後、疲れ果ててしばらく放心状態でかえる姉さんと座り込んでいた。
ほわほわする気持ちで外に出たら、リポビタンDの無料配布があるので列に並ぶ。
「飲まなきゃやってられない」「ファイト一発キメなきゃ帰れない」「どうせ今夜は興奮して寝れないし」「深夜のNHKの録画放送見るし」とか言いながら。
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嵐のあと、いつもどおりの朝を迎えられたこと、いつも以上の夜を過ごせたこと、感謝しています。
ありがとう、神様。

親戚のおじさん

氷河期世代なので、仲間内で結婚している者も少ないし、結婚披露宴を行った者も少ない。
友達もそれほど多くないので、結婚披露宴に出た回数も少ないが、それ故に人の結婚披露宴の印象が強く残っている。
一番驚いたのは、「新郎新婦の上機嫌な親戚」だ。いい気分で酔っ払ってあちこちのテーブルを回り、「今日は来てくれてありがとね!!まあ飲んでよ!!」とビールを注いでくれ、誰の話かわからない昔話を始めたり、涙ぐんだりしてはまたふらふらと去っていく。
小さな居酒屋なんかに行けば当たり前の風景かもしれないが、「見知らぬおじさんからまるで家族のように扱われる」「喜びの輪に強引に巻き込まれる」という状況がなんだかものすごく不思議でシュールな感じで、思い出しても笑ってしまう。

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さてさて、ラグビーワールドカップが始まって、試合を見るぞ!と浮かれて帰ってきたら有料のJsports4でしか放送されてなくて「は?」と思った火曜日、BS1にしたらロッテ×西武戦、ちょうど涌井くんがマウンドに上ったところだった。涌井くん久々に見た。キャーーーー!元気で良かった、涌井くん!…と思っている間に涌井くんは打たれ、ホークスも打たれ、M2が一気に消滅してライオンズの優勝が決まった。ばんざーい。

土曜日は日本×アイルランド戦をみなとみらいのファンゾーンで見る予定で、午前中は整骨へ行った。以前は盆踊りの踊り子が横で施術されていたこともある整骨院。なにげに情報の宝庫で、巨人ファンのおじさんがセ・リーグの状況をあれこれ話していたり、最近親を介護施設に入れたおばさんが介護について延々話していたり、いろいろと勉強になる。
そんな中、土曜日に隣で治療を受けていたおばさんは今夜のラグビーの試合について「日本なんか1点もとれないわよ、ボロ負けするわよ」と語っていた。

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2年前、味スタでのテストマッチ
緑の人たち、確かにとても強いけど、2年前だって結構日本も頑張ってたもの。
ゼロってことはないよ。勝てるとは思わないけど食らいついてほしい…。
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かえる姉さんとそんな話をしながら臨港パークのファンゾーンへ。キャンプ用の椅子を持ってくる人、テント張ってる人なんかもいて、フェスっぽい。試合開始が近づくにつれて、どんどん混雑してくる。
隣に座る酔っぱらいご夫婦と仲良くお話しながらなんだか緊張してきたりして。
別に私が出るわけでもないのに。
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ああああああ、うわああああああ、おおおおおおおお、そんな声をあげながら見て、プレーが途切れるたびに深呼吸した。
後半、福岡くんが出てきてかえる姉さんと「福岡くんだ~♡」とキャーキャーする。逆転トライも決めたので抱き合って喜ぶ。周りの人達ともハイタッチ。

福岡くんのインターセプトからの独走の時にはキヤアアアアアア!と叫んで立ち上がり、試合終了の時にはかえる姉さんとまた抱き合って泣いた。
勝つなんて思ってなかった。うそみたいで、ふわふわしながら歩く帰り道。
「あー、嘘みたい」「なんかもう力入りすぎてぐったりしたね」「あー、でもホント勝っちゃったね」「どうしよう」と、何度も何度も口にする。
代表ジャージを着たままなので、すれ違うおじさんに「イエーイ!」なんてハイタッチされたり、通りすがりの人に「おめでとう」とか言われたり。
駅で飲み物買おうとしてたって知らないお姉さんに「日本勝ちましたね!」と声をかけられる。そして電車の中でネット記事読んでまた泣いたり、エスカレーターですれ違う代表ジャージ親子とハイタッチしたり。

喜びの渦の中に巻き込まれて、嬉しさと、おろおろするような気持ちでかえる姉さんとボソボソ話す。
「なんかさ、これアレだね、あの…人の結婚式みたいだね」
「知らないおじさんとさ、おめでとう、おめでとう、とかさ」「変なテンションでね」「そうそう」
そうして笑い合う。変なテンションもシュールな感じもおかしいし、日本が勝ったことも嬉しいので、バカみたいに笑う。

ああ、ずっとこんな風だったら、こんな気持でいられたら、世の中とっても平和なのにな。
喜びを他の誰かとわかりあう それだけがこの世の中をアツくする
そんな歌を歌っていたなあ、オザケンが。
そう思うと、あの、披露宴の親戚のおじさん、っていうのは幸福と平和の象徴みたいな存在だな。

小沢健二 - 痛快ウキウキ通り

痛快ウキウキに浮かれてはしゃいだおかげで声が枯れ、風邪もひいて日曜日はぐったりしていた。
それでも心はずっと痛快でウキウキしているし、結婚式にいる親戚のおじさんくらいに寛大な気持ちで過ごせる週明け。
ばんざーい!ばんざーい!!

夢のような日々

ついにラグビーワールドカップが始まった。
それこそ清水の舞台から飛び降りるような気持ちでチケットを買った去年が遠い昔のことのよう。

一度飛び降りたら慣れるものなのか、決勝のチケットも買った。
でも日にちが経ちすぎて日程もちょっと忘れていて、大相撲千秋楽のチケットをとってしまい、相撲は慌てて友人に譲った。
7月には日本代表のユニフォームも買って、8月にはチケットも届いたのに、目先の忙しさや、ライオンズの優勝可能性なんかに追われて、全然気持ちがラグビーについていっていなかった。

「金曜日ユニフォーム持ってパブリックビューイング行こうよ!」とかえる姉さんに誘われて、やっと「ああ、本当に始まる」気分になった。
有楽町と横浜で迷ったけど、有楽町は狭そうだから横浜へ。有楽町は入場規制もかかっていたみたいなので横浜にして本当に良かった。

みんなで芝生に座って大きなスクリーンで観戦する。横の巨大テントではビールがもりもりうられていて、中はごきげんな外国人だらけだった。
冷や冷やしたけど勝ってよかった、楽しかったね、とユニフォーム着たまま地下鉄に乗ったら巨人にボコられて意気消沈のベイスターズファンがたくさん乗っていた。
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土曜日はいよいよ日産スタジアムへ。
南アフリカ対ニュージランド。スプリングボクスオールブラックス
14万円のチケットを買う決意を後押ししたのはこのカードだ。
新横浜の駅を出たらもう南アフリカのユニフォームの人だらけで、コンビニもブリティッシュパブもどこもかしこも南アフリカ共和国になっていた。そして相当デキあがっていた。あの人ら、試合終了まで持つのか…と疑問になる。
はー、これがワールドカップかー、と実感。
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オーストラリアやアイルランドの人たちもいて、不思議に思っていたけど、バックスタンド側でパブリックビューイングもやっていたらしい。すごいな、みんな私よりずっといろんなこと調べ尽くして日本に来ているのだな。
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日テレ軍団も来ていた。舘ひろし、遠くから見てもすぐわかった。
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ハカが後ろ向きでちょっと残念。
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南アフリカスクラムハーフ、ファフ・デクラークは小さいのにすごいファイターだった。

翌日はアイルランド×スコットランド
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横浜駅周辺は2つの国のスカート男子が山盛り。あのキルトはノーパンで履くのが正式だと聞いたことがあるので、スカート男子見るたびにパンツ履いてるのか気になってしまう。
スカートめくりをする男子の気持ちがすごくよくわかった。「どうなっているのか」という好奇心。ただそれだけだ。

2年前のアイルランドと日本とのテストマッチの時にも思ったのだけれど、アイルランド人はどこからこんなに湧いてくるのだ、と驚くほど場内が緑色に染まっていた。そしてともかくビールを飲んで上機嫌。世界ランキング1位の余裕なのか、歌ったり踊ったりものすごく楽しそう。
バグパイプを持ち込んで演奏しているスコットランド人もいた。セキュリティのため、長傘まで没収されるのにバグパイプは通過できるのだな、となんか笑ってしまう。
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試合はワンサイドゲームアイルランドの圧勝だったし、日本との試合が心配にもなったけれど、会場みんなでカントリーロードを歌ったり、本当に楽しかった。

ああ、楽しいな。ラグビーワールドカップってものっすごーーーーーーーく楽しいな。
すごくハイレベルな試合も見れる。
みんなが純粋に期待して、楽しそうにしていて「人間ていいものだな」って思ったりもする。
他の地域の試合も気になるし、家に帰ってから録画した試合を見返したり。例えライオンズが負けてもラグビーが楽しいので元気でいられる。
あの時、勇気を出してチケットを買っておいて本当に本当に良かった。
来週再来週は横浜のファンゾーンで日本戦を見る。

一生に一度の夢のような日々。なんて幸せ!

計算ちがい

明日で我が家の猫もめでたく1歳。
「生まれたての子猫4匹を病院から引き取った」と友達からLINEが来たのは去年の3連休だったなあ。

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まだ目も開いていなかった頃
あれよあれよと言う間に男子2匹を引き取ることになって、猫が来る嬉しさの反面、「ああ、計算が狂ったなあ」と思うこともたくさんあった。

「子供ができたの」と言われた男の人の気持ちも、オメデタが発覚した時の女子の気持ちも、きっとこんな風だったんだろうな。
「いや、嬉しいよ。いつかはほしいと思っていたよ。でも今!?今なの?」
そんな気持ちなんじゃないか。
…と、友人たちに告げると爆笑された。「まめ、ついに理解したか!」「えー、わかっちゃったかー」と。
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旅行も3つキャンセルしたし、猫用品を揃えるのも結構な出費だった。
おまけに猫のために部屋の模様替えまであれこれしなければならず、家具を買ったり、大移動させて筋肉痛になったり。
「あーあー、こんなはずじゃなかったよなあ、計算狂ったなあ、正直今から猫、断れないかな」と思ったこともある。

猫が来てからも、夜ごと繰り広げられる運動会に発狂しそうになったり、羽根布団におしっこされてブチ切れたり、「こんなはずじゃなかった」と思うことは山のようにあった。
育児をしているお母さん方もそんな気持ちだったろうな。またしても既婚女子の気持ちを理解してしまう。
「猫にご飯をあげなければ」と付き合いも悪くなった。あんなに通った動物園からも足が遠のき、大好きなコアラ、ニーナがお母さんになったことも知らずにいた。
山にも行かず、友達との旅行もお断り。仕事もリアルで「わたし、定時で帰ります」だ。
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あれから1年、猫は計算違いに大きくなった。
いろんな「こんなはずじゃなかった」を乗り越えて、私も猫もお互いに付き合い方を学習してきたように思う。
でも「ああ、計算が狂ったな」と思うことはまだたくさんある。

例えば先週台風が来た時。
今まではどちらかと言うと台風にはワクワクしていた方だった。でも、猫がいるので「万が一」を考えてしまう。もしもの時に猫二匹を連れてどうすればいいんだろう、と不安になりながら、水を溜めたり非常用品を確認したり。いつも通り呑気に眠る猫たちにも「一緒に寝てよ!」と要求したり。
布団の中で、だんだん強くなる雨音を聞きながら、「独りの時はそんなに怖くなかったのにな。よく言われることだけれど、本当に独りじゃなくなると弱くなるものね」と考えた。

万が一、事故にあったら?病気になったら?災害が起きたら?家に帰れなかったら?…と不安になることも時々ある。
正直今まではある日死んだら死んだで仕方ないと思っていた。病気になってもまあしょうがない、災害が起きてもまあ、しょうがない。
でも今は、猫の寿命の間だけは無事でいたいと心の底から思う。
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あと、猫とずっと暮す家が欲しい。家を買いたい。今よりもっと広い家。
あーあ、もっと貯金しておくんだった。計算狂ったな。

それから、猫が来てから、人が遊びに来ることが多くなった。そうするとなぜだか、家族でも友人でも、帰ったあとに妙に部屋がガランとするような寂しい気持ちになる。
ずっと独りで家にいてもそんなことは思わないのに。
他の生き物がいるっていうことは、自分の心の中にその分スペースができてしまうから「不在」を感じるようになってしまうのかもしれない。これもまた計算違い。

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999の車掌さん的な眼光。

「猫を飼うことになりました」と去年、職場のおじさんに言ったら「今よりもっと強くなれますよ」と言われた。
あの言葉を時々思い出して、「強い?いや、弱くなったような気が…」と首をかしげたりしたけれど、もしかしたらそれは「計算違いを受け入れられるようになる」って意味だったんじゃないかな、と思い当たった。
独りでいる時は、人に振り回されて計算が狂うことが本当にイヤだった。
今だって好きではないけど、計算違いのことばかりだから、慣れたというかなんというか。

計算違いのイラだたしさ、計算違いの不安、計算違いの嬉しさ、計算違いの幸せ。
人生ってそういうものかしらね。
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ガタ

夏休みが終わって、今日まで何をしていたかと言うと、まあ相変わらず猫とイチャイチャしているのだけれど、その合間合間で病院に通っていた。

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E.T
目が!目が~!!!…なんか腫れてる!…と眼科に行ったり、耳が!聴覚過敏?…と耳鼻科に行ったり、人間ドック受けたり。
そうこうしているうちに先日は人生初の交通事故にあった。
自転車で坂を下っていた所、一時停止もなく車が左折して突っ込んできて、止まりきれず転倒。
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横転
車はそのまま去ったのだけれど、後続車が激怒してクラクションを鳴らしまくって止めてくれた。周りの通勤途中のおじさんたちも「大丈夫か!」「さっきの車のナンバーはこれ!」「警察呼んだほうがいいよ!」「こういうのはね、後から症状が出るんだからね!」と声をかけてくれるので、ああ、世の中は私が思っているよりも親切なのだなと実感した。

車の相手は作業着のおじいさんで、「全然気づかなかった、すみません」との事だった。私も擦り傷くらいで済んだし、周りが親切だったし、自分も気をつけなくちゃいけないし、「大丈夫です」と握手してお別れ。
しばらく筋肉痛だけど仕方ないなと思っていたら、それから4日後、右肩が痛くて上がらなくなった。

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投げる金剛力士像 石井貴
…これか…。これが「症状は後で出る」っていうやつか…。そしてこれが「肩が上がらない」って言うやつか…。
石井貴西武ライオンズを引退する時に「もう私の肩は上がりません」と言っていたあの日のことを思い出した。涌井くんが号泣していたことも。

いや、肩が上がらないって本当にキツい。字を書くのも、PCのキーボード打つことも、そして、猫を撫でることすらままならない。
昨日整骨に行ってきたら「ああ、捻挫してるね」とのことだった。肩って捻挫するんだな。

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柔軟性が大切
そして、私が体のガタを痛感し、健康って大事だなと再認識している間に、友人が何かのウイルスで緊急入院し、ついでに検査したら乳がんが見つかってしまったらしい。これから詳しく検査するのでステージはまだ不明とのこと。
ガン宣告されて動転するのはもちろんわかるけれど、「どうして自分がこんな目に遭うのか」「周りの人間が恨めしい」と言い出すことに驚いてしまった。

というのも彼女はヘビースモーカーで、これまたヘビースモーカーのヒモと同棲していて、二人で煙草を吸いまくり部屋の壁が真っ茶色になるほどの生活をしているのだ。「健康に悪いのはわかってるんだけどねえ」と普段から言っていたし、ガン宣告されても煙草はやめていないので、当然ある程度「仕方ない」として受け入れているものかと思っていた。
健康に悪いこともわかってやっておいて「他人が恨めしい」はないんじゃないのか…と思ってしまう。
ましてや二人に一人がガンになると言われるこの時代に。
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そんな訳で、ますますもって老婆の如く生き死にや健康のことを考えてしまうようになった。保険も見直しと追加加入を検討している。

それでも、どんなに考えても、明日何が起こるかはわからない。事故に巻き込まれるかも、突然倒れるかもしれない。
ただ、どんだけガタがきても「しょうがないな」って受け入れたい。40年以上使ってたら、家電でも家具でもガタがくる。私だってガタがくる。
願わくば、猫を看取るまでのあと20年くらいは猫も私もなんとか健康で、自分の力で生きていきたいけど。

おかげさまで肩の調子はだいぶ良くなり、キーボードが打てるようになりました。
これで猫も撫でられる。

ぼくのなつやすみ

おかげさまで夏休みは9連休。
片付けておかなければいけない仕事も多くて夏休み前は本当に忙しかったけれども、ついに!ついに夏休み!!
と浮かれて座った8/9金曜日夕方の電車の中で大変な情報を手に入れた。
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ガラスの仮面が8/11までの3日間、ebookjapanで24巻まで読み放題!
なんということ…。こんなの…読むしかないじゃないの…。
夜中まで夢中になって読み進め、翌日、友人の家まで行く道すがらも電車の中でずっとガラスの仮面を読んでいた。
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友人のお家は葉山。
久しぶりに海を見て、波打ち際で水遊びをして、5歳のヤングボーイにも遊んでもらってすっかりバカンス気分。
帰りもガラスの仮面読んで帰る。
翌日は高校野球見て昼寝してガラスの仮面読んでまた寝る。

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猫による検品
24巻まで読み終わったら続きが気になって気になって、中古文庫を購入してしまう。若い頃、意を決して処分したのに…。あれだけは二度と再び手を出すまいと誓っていたのに…。
だって、24巻て「ふたりの王女」始まる前のじれったい所なんだもの…。
紫のバラの人と、やっと会えるかもしれないって所なんだもの…。
電子コミックで揃えるより中古文庫の方が断然安いし…。
迷い渦巻く中、ええい、ままよ!とポチっとしたガラスの仮面27巻セット、翌日配送してくれてありがとう、Amazon
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やっと思いが通じ合った二人にきゃあきゃあトキめいてはまた昼寝。起きると外が真っ暗になっていたりして、いい加減ヤバいかな、とも思う。
そんな時に思い出すのはやはり漫画だ。西村しのぶの「アルコール」という漫画の中で、南国に旅行した恋人同士はずっと寝て過ごす。
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そうだそうだ、これでいいじゃん。こんなに暑いんだし、ここを南国だと思えばいいわ。GWを思い出して?自宅でリゾートを味わっていたじゃない?
そんな訳で開き直って寝る。
ごはん食べて洗濯して寝る。台風が来ると言っては寝る。高校野球見て寝る。
猫洗って寝る。東海大相模が負けてふて寝する。
ウォーターボーイズ見て寝る。ついでにスウィングガールズも見て寝る。繕い物して寝る。
漫画読んで寝る。猫にちょっかい出して寝る。
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ホント、人間あんなに眠れるものなのね。昼寝しても夜もまた眠れる。
さすがに今日からはリハビリに入って、朝から昼寝しないで起きている。

こんなに引きこもっているとお金が貯まるとお思いでしょう?
いいえ、ガラスの仮面全巻衝動買いしているようじゃ、無理に決まっておりますわ。

風が吹けば桶屋が儲かる

風が吹けば桶屋が儲かるのはなんで?」
例えチコちゃんにそう問いかけられても、私は答えられる。ボーッと生きてない。
学生時代にソウルでみんなで思い出したという強烈な思い出もあるのでね。

大風で土ぼこりが立つ→土ぼこりが目に入って、盲人(めくら)が増える→盲人は三味線を買う(当時の盲人が就ける職に由来)→三味線に使う猫皮が必要になり、ネコが殺される→ネコが減ればネズミが増える→ネズミは桶をかじる→桶の需要が増え桶屋が儲かる
                            wikipediaより

世の中物事は巡り巡って思いもよらぬ結果を生み出すものですなあ。
さて、猫を飼い始めてから、当然猫のニュースも気になりだすし、巷に溢れる猫マンガなんかも気になり始める。
なかでも一番のお気に入りはねこまきさんという作者だ。

写真家の岩合光昭さんが監督をした映画にもなって、そっちも見に行った。
…映画より原作の方が良かったけど。。。
ほのぼのしみじみあったかくて、猫飼いあるあるで、少しだけ泣いたりもする。
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同僚の猫飼いさんたちにも、家に来た友人たちにも、両親にも「絶対読んで!」と課題図書として薦めている。
そのねこまきさんの新刊が6月に出て、すぐに購入した。「トラとミケ」
トラとミケ: いとしい日々

トラとミケ: いとしい日々

猫の姉妹が営むどて煮やさんの話で、やっぱりしみじみあったかくて、名古屋めしがとても魅力的。
その中にこんな1ページが出てくる。
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おおおおおおうううう…。ぬか漬けのっけたお茶漬け!!!お茶漬け…!!!
すっかり忘れていた、日本にはお茶漬けという素晴らしい食べ物があることを。
しかもぬか漬け!ぬか漬けか!!

かつて保存食に凝った頃、ぬか漬けももちろん始めた。しかし、消費しきれなくて夏も越せなくて一旦やめてしまったのだ。
食べたいときは買えばいいし、と思って。
ただのぬか漬けなら買えばいいけれど、たまにどうしてもどうしても古漬けが食べたい時に困った。古漬けなんて売ってないもの。
でも、ああ!ああ!古漬けを刻んで炒めたのにすりごまとお醤油ちょっとふって、白いご飯にのっけて食べたいなーーーーーー!!という衝動はたまに訪れる。
キムチでも古漬けが好きで常温で放置して発酵を進ませたりする(自己責任)
そんな古漬け好きな私の前に運命的に現れるこの1ページ。
ああ、どうしよう、ぬか漬けまた始めようかな、ぬか漬け食べたいもんな。猫飼ってから外食もほとんどしないしな。
あれこれ調べたりもすると驚くのが、昨今ぬか漬け男子なるものが存在していることだ。
「ぬか床には愛情を注ぎ、ストレスはぶつけない」等、ぬか漬け男子のぬか育て理論…すごい。イクメンていうかヌカメンか。
ようし、もう私も始めちゃう、ぬか漬け再開しちゃう。そんでぬか漬けのっけたお茶漬けを食べる!!!!

そんな時、ゼロから始めるような真似はしない。市販のぬか床を買ってきて、そこからいろいろ増やしていく方式だ。なんとか最終の実山椒にも間に合ったので、実山椒も入れる。
そして念願のぬか漬けのお茶漬け
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古漬けと納豆のチャーハン
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水気取りに入れた昆布と古漬けと梅干しをのっけた白粥
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うわー、ご飯がうまうま幸せだー。
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「幸せ~っ」ちゅーとな、幸せがどんどん寄ってくるんだて。
そんなのどんどん言える。ぬか漬けとお茶漬けのおかげで何度だって幸せって言える。それで幸せがまた寄ってきちゃったらもう本当に幸せね~。
猫もいるしね~。

そうこうしているうちに夏が来た。
さて、猛暑となればぬか漬けも冷蔵庫に避難させなければならない。かつてぬか漬けをやっていた頃、表面が真っ白になったり、発酵しすぎて美味しくなくなったりしたこともあったのだ。
そうなると、我が家の一人暮らし用146Lの冷蔵庫では小さいのだ。
猫が来て外食が減ったこともあるし、年齢とともに野菜中心の食生活になったこと、生協の宅配をとっていることから、かねてよりちょっと冷蔵庫が小さいな、とは思っていた。でも7年前に買ったばかりだし、まだ使えるし、大きい冷蔵庫は高価だし…。
と、毎日毎日テトリスのように冷蔵庫の中を組み替えて一生懸命食品を収納していたが、生協に積み立てていた出資金が10万円を超えていることも判明し、よっしゃ冷蔵庫買うたるわ!!と決心。

330L、高さ170cm、真ん中野菜室の三菱冷蔵庫が我が家にやってきた。
ばんざーい!ばんざーい!
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君臨する猫
そんな訳で。
猫を飼う→外食もしなくなりひきこもりになる→猫マンガを読む→猫マンガに出てきたぬか漬けに憧れる→ぬか漬けを始める→冷蔵庫を買い替えたくなる
つまり、「猫を飼うと電器屋が儲かる」ということになるのである。まあ猫のおかげでエアコンもつけっぱなしだしな。
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古い冷蔵庫を入念にチェックする猫
1年前の今頃はこんな生活になるなんて思いもよらなかった。
でも猫がいて、大きい冷蔵庫も買って、ぬか漬けでお茶漬け食べれて幸せだ。
ああ、幸せだ、幸せだ~。