曲がり角ごとの驚きⅨ 青木の仕業

埼玉で過ごした高校時代、後輩がほりのぶゆきにハマっていて「先輩も読んで下さいよ」と薦めてくれた。

かなりお下劣でバカバカしいのだけれど、二人でゲラゲラ笑い転げた。
そんな青春の1ページに鮮烈に刻まれたのはこれ。
f:id:mame90:20170604210436j:plain

正直これを読むまで青木昆陽を知らなかったが、これ以降、私の中で江戸城の庭は一面のサツマイモ畑であったとの認識になってしまった。
「旦那がうちの庭を勝手に家庭菜園にした」という職場の主婦の嘆きを聞いても、密かに「青木昆陽かよ」と思ってしまうし、母が焼き芋にハマった時にも「青木の魔の手が我が家にまで」と、あの漫画を思い出した。
目黒不動で偶然、青木昆陽の墓を見つけたときには「実在してたのか!(当たり前だけど)」とトキめいたものだ。
f:id:mame90:20170604211440j:plain


さて、窓の外に西武園遊園地の観覧車が見える部室で、後輩と笑い転げていたあの頃、川越はまだ今みたいに小江戸前面推しの観光都市ではなかった。それがいつ頃からか急に「小江戸」として町の整備や観光誘致をし始めた。

ええー?川越が観光地なの?と、どうにもピンと来ないままに神奈川に戻ったが、今となっては東京から気軽に行ける観光地としてかなり名を馳せているらしく、同じく「川越なんてわざわざ行くか?」と笑っていた高校の同級生達も、チラホラと「川越なにげに面白いよ」と言い出すようになってきた。

そんな折、はてなのお友達で川越出身のいもこさん(id:xx_green-heuchera_xx)にお会いするチャンスがあったので、川越を案内してもらうことに。

蔵の町はスポーツ用品店まで蔵造り。まさかこんなガラス戸の向こうで微笑む大谷くんを見るとは。

とは言え、私だって学生時代は埼玉で過ごしたのだから、川越がさつまいもで有名だということくらいは知っていた。

知ってはいたけど、まさかここまで芋づくしだとは思わなかった。

そびえ立つさつまいものダンボール。

アイディア麩菓子。

種子屋さんもサツマイモ栽培を推奨。

「いも恋」という芋愛に溢れた店の前では部活帰りらしい大量の学生達が何らかの芋スウィーツを召し上がっていた。

いも茶。茶もあるのか。芋から出した茶なのか、葉を使用しているのか。

おしゃれな芋けんぴ屋ののれん。
兎にも角にもさつまいも。見てるだけでお腹がいっぱいになるほどだ。
さつま芋饅頭、さつまいもソフトクリーム、芋ようかん、芋チップス、スイートポテト…。


さらには、芋そうめん、いもうどん、芋釜めしの店もあった。
小江戸川越、ここはさつまいものテーマパークなの?
怒涛のさつまいも波状攻撃に圧倒されながら入った川越市立博物館でもさつまいもについて教えてくれる。

出た、青木昆陽
さっきからずっとお前のこと、考えてたぜ。
芋そうめん、いもうどん、芋釜めしなんて無茶しやがって…。お前の仕業だな、青木。

氷川神社の入り口で夏らしく回る風車の紫色さえさつまいもの色に見えてくる。これもきっと青木の仕業。
尚、お会いしたいもこさんのハンドルネームも川越の名産が芋だから、とのことでした。なんという地元愛。そして芋愛。
その愛もきっと青木の仕業。

幸福な蕎麦屋


世界じゅうがだれもかも偉い奴に思えてきて
まるで自分ひとりだけがいらないような気がする時
突然おまえから電話がくる 突然おまえから電話がくる
あのぅ、そばでも食わないかあ、ってね
(中略)

風はのれんをばたばたなかせて ラジオは知ったかぶりの大相撲中継
くやし涙を流しながらあたしたぬきうどんを食べている
おまえは丼に顔つっこんでおまえは丼に顔つっこんで
駄洒落話をせっせと咲かせる

            中島みゆき蕎麦屋

つくづく中島みゆきは恐ろしい。
大事なことは何も言っていないのに、情景も心情もすごくよく伝わってくる。
老夫婦の経営する、少し薄暗い蕎麦屋だ、きっと。
まちがっても小奇麗で気取って、そばにうるさい店主のいるようなこだわりの蕎麦屋じゃない。
歌詞に「とんがらし」とでてくるが、きっとひょうたん型の入れ物に入ってるんだろう。
この曲をいつもドリカムの「なんて恋したんだろ」と比べてしまうのは多分にうどんのせい。

最後の夜 話し疲れて ふたりでおうどん泣きながら食べた 今思うとなんか笑うよね
それでもお互い 思い遣ってえらい、おわりまでずっと気遣いあってた
        DREAMS COME TRUE「なんて恋したんだろう」

こちらはずいぶんカジュアルだ。こんな別れ話、「味の民芸」ですればいい。
f:id:mame90:20170601204551j:plain:w350
増田屋でもまあいいんだけど、できることなら別れ話中のカップルには増田屋のことはそっとしておいてほしい。
f:id:mame90:20170601213558j:plain:w450
子供の頃、ある日突然近所に増田屋ができた。
あれが生まれて初めて見た増田屋で、なんだか普通の蕎麦屋とはちょっと違う感じに見えた。中に入ると、優しい親戚の家に来たみたいないい匂いがして、人の良さそうな夫婦が経営していて、行くといつでもこけし型の容器に入ったお子様セットを頼んだものだ。
f:id:mame90:20170601214552j:plain:w450
ちょっと違うけどこんな感じの。
吉本ばななの小説「キッチン」の続編にものすごく美味しいカツ丼屋さんが出て来るシーンがある。新しくて白木の匂いがして清潔で手入れの行き届いた感じのいい店だ。主人公は、母を亡くした友人にその店のカツ丼を届けに行き、友人が少し元気を取り戻す。

キッチン (角川文庫)

キッチン (角川文庫)

私にとって増田屋はあの小説の中のカツ丼屋のように、なんだか夜道にぼうっと光っていて安心させてくれたり、懐かしくてキュンとしたり、幸せの象徴のように思える店だ。
増田屋を見かけると「あ、ここはいい町だ」と思えるくらいに。
ちなみにあれはチェーンじゃなくて暖簾分けなんですってよ。

さて先日、そんな思い入れのある増田屋にふらっと入った。ガラッと扉をあけたら、大相撲中継の声が聞こえて、おじさんとおばさんがそそくさと立ち上がる。
あ、相撲見てたのか…とちょっと嬉しくなりながら、大相撲中継の見える席に着いて、最後の3番くらいを見た。

高安のお母さんの表情に涙ぐむし、白鵬と玉鷲の真剣な立会いにも胸を震わせながらそばをすする。
冒頭に引用した中島みゆきの「蕎麦屋」でも大相撲中継が流れていた。
梅にうぐいす、蕎麦屋に相撲。
相撲の結果が気になって、時々そわそわと厨房から出て来るおじさんとおばさん。

かまぼこ板とガムテープで修復されたテーブルのガタつき。
清潔な店内。手入れの行き届いた鉢植え。
世界じゅうがだれもかも偉い奴に思えてきて、まるで自分ひとりだけがいらないような気がしたとしてもここのおじさんとおばさんは優しくお蕎麦を出してくれるんじゃないか、みたいな安心感。

完璧だ。
今、私は完璧な場所にいる、完璧な夕方、と幸福感でちょっと胸がつまるくらい。
こうしてまた増田屋に幸福の思い出が積み重ねられていくんだ。

あの夏の花火

ここ最近、ずいぶん精力的に出歩いていた。けれど土曜日はしょんぼり寝込んでいた。
夏に青春18切符使って名古屋に行って、東山動物園と名古屋場所行こう、ついでに登呂遺跡でも行くか、と計画していたら、名古屋場所のチケット惨敗だった。リセール狙いも完全敗北。
稀勢の里のせいだ…。

外はこんなに晴れているのにぐったりふて寝していたら、相撲友達からLINE。
「今日うちの近くで花火大会があるらしいんだけど、相撲見がてら花火見に来て」とのこと。
即座に起きて「行く!!」と、出かける準備。
友達は今、自宅がリフォーム中で、東京湾岸の高層マンションを仮住まいにしている。

そんな訳で、着くなりすぐに外の景色を見せてもらって「うわあ、東京だねえ、こんな所に住んでいる人、本当にいるんだねえ、ドラマみたい」とウキウキはしゃぐ。

ドラマみたいな外観だけど、ダンボールに囲まれた仮住まいなので、テーブルもダンボール。
ヨーカドーで買って来たお惣菜だとか、友達がお母さんと一緒に作ってきてくれたお惣菜だとか。
昼間っからビール飲みながら相撲みて、これまでの白鵬横綱としての貢献度を語り合って涙ぐんだり。優勝を讃えたり。

これは4日目、隠岐の海との取り組み。
相撲が終わってからそのままBSで巨人カープ戦見せてもらっていたら、花火が始まる。
http://top.tsite.jp/lifestyle/lifetrend/i/34771548/なんでもこんなイベントらしい。友人は「花火見えるかわかんないけど」と言っていたけど十分見えた。


白鵬の優勝祝みたいだねえ」とか「ビルの前に花火が上がってるとラスベガスみたいねえ」とか言いながら花火を見る。

合間合間に部屋に戻ってさっきの相撲のビデオを見たり。
これは友達が撮った、あじさいみたいな花火。

風向きによってはやたら荘厳なパイプオルガンみたいな音楽まで流れてくるものだから、少ししんみりしつつ、友達に「今日、誘ってくれてありがとね。名古屋場所とれなくてヘコんで寝込んでた」と言ったら、友達が「こっちこそありがとう。一人でこんな花火見てたら絶対落ち込んでた」と言い出す。

確かに。花火って爆撃みたいな音と色彩の割にどうにも人を切なくさせるものだから、一人で見たら絶対致命的ダメージを負う。失恋したわけでもないのに失恋気分みたいな。
それで「そうだね、あの夏の花火って感じよね」と言ったら、さすが同年代なので即座に二人して歌ってくれる。

うん、でも私の今の気持ちとしては「呼んでくれてよかった、今日はホント、サンキュ」って感じ。サンキュ。

I NEED YOU

先日、国技館でむしゃむしゃ焼き鳥を食べながら友人に「こないだ、突然コアラが見たくなっちゃってさ、一日中コアラのこと考えてた」とそっと打ち明けた。

友人はきっと「何を言っているのだ、こいつは」と呆気にとられたことだろう。しかし私もまた友人の返答に呆気にとられていた。
「まめって意外に動物とか見るの好きだね

何を言っているのだ、こいつは。うっかり真顔になっちまうぜ。
好き、とか嫌いとか。
「コアラ可愛い」って言ってる私可愛い、とか。
癒される~♡とか。
そんな生ぬるい、甘ったるいことではなく今の私には切実にコアラが必要なんだよ!コアラなくしてこの乱世を生きていけないんだ!会いたくて会いたくて震えてるんだ!!

職務質問にあったっておかしくないほど切羽詰った表情で、土曜日は20年ぶりの多摩動物園。入園するなり一直線にコアラ館を目指す。

幼稚園の親子レクみたいな集団がたくさんいるのを追い越して兎にも角にもコアラ館へ。
子どもたちにコアラを譲ってやる余裕なんかない、この目でコアラを見るまでは。
コアラはどこだ、コアラはいねがー!
なまはげ、もしくは「杉野は何処、杉野は居ずや!」と叫ぶ軍神広瀬中佐の如く、私はコアラを探し求めているのだ。

途中目につくのはコアラの描かれたマンホールの蓋。否が応でも期待が高まる。

これがコアラ館。かつてはずらっと行列ができていた。小学校の遠足で多摩動物園に来たが、混雑していたことばかり記憶に残っていて、コアラを見たんだかどうだか覚えていない。

そうしてやっと、微動だにせずに眠るコアラに出会えた。
f:id:mame90:20170523222932p:plain:w300
燃えつきたジョーみたいに眠る。

オランウータンやアジアゾウをぐるっと眺めてもどってきても、お変わりなし。

後から祖父と少年が入ってきた。
「なんだよ、起きろよ」とぼやく祖父に少年は「コアラは20時間寝るんだから仕方ないよ!」とコアラ知識を披露していた。負けじと祖父も「コアラのエサ代が動物園で一番高いんだぞ」とコアラ知識を披露。
…そうだよな。20時間寝ていて、4時間しか起きていないんだもんな。


コアラのこんな表情を見れるのは飼育員さんの特権なのだろう。
それにしてもかつてあれほど栄華を誇った多摩動物園のコアラ館はこんなにも寂しい場所になってしまったのか。
調べていたからコアラが1頭しかいないのは知っていた。知っていたけど寂しいものだな。
そのうち、多摩動物園にコアラはいなくなってしまうのではないか。土産物屋でもコアラグッズは非常に少なく、「多摩動物園ではコアラはもうオワコンなんだな」と寂しくなる。


が、取り急ぎこれだけは買って来た。乱世を生き抜くために。
そして月曜日、いそいそと会社の机の前にコアラの写真を貼った。
同僚はきっと「何してんだこいつ」と思っていることだろう。
でもこれがないと私、月末のバタバタを乗り切れない。誰に笑われようとも、今、コアラなしでは生きられない。

曲がり角ごとの驚きⅧ 大根というモード

出会いはいつでも偶然の風の中byさだまさし

これは江戸東京博物館に展示されていたデザインスタンド。
人々の暮らしがどんどん近代化されていく中で、ただ単に便利さだけを追い求めた物ではなく、デザインを楽しむ余裕が出てきたとかなんとか、そんな流れの中での展示の一つで、これ、電気で光るんですよ、大根が。
なぜまた大根が光る必要があるのか、どういう理由でこれを求めるのか、「あらオシャレ」なんて思えるのか。当時そんなにお安いものでもなかろうに…とぐるぐる考えてしまう。

そんな折、町田市立博物館で、こんな皿を見かけてしまい、また大根か!!と驚愕する。

更に府中市美術館に国芳を見に行ったら川中島合戦図に大根が現れ、何の呪いかと思う。
なんでも上杉謙信の有能な家臣であった柿崎景家さんの家紋が大根だったとのこと。なんでだよ。

事ここに至ってはもう我慢ならない、一体なぜこんなにも大根なのか、調べてやる!
f:id:mame90:20170520223600j:plain
おそらくこの皿のことなのだと思うが、戸栗美術館は下記のように述べている。

大根は、身近な食物でありながら小袖や伊万里の意匠となるような人気の意匠であったことを教えてくれます。(中略)
伊万里の絵付職人の、当時の流行に乗り遅れるな、という気概を感じることができます。流行の最先端や美しさを追い、個性を出したいという思いはいつの世も変わらないのかもしれません。

大根という個性…。
また、花邑という帯屋さんのブログによれば

大根は薬用としても用いられたことから、無病息災の意味合いで着物の意匠にも用いられています。

とのことで、大根が規則正しく並んだ帯の写真が掲載されている。
薬用だから、か。他にも薬用になる野菜はありそうなものだが。

双方のホームページ共に書かれているのが「大根は消化に良く胃に当たらないことから、俗にいう「大根役者(当たらない役者)」という言葉がうまれたのも江戸時代」という事。江戸時代にいろんな種類の大根の栽培が始まったらしく、大根が相当流行っていたのだろう。
f:id:mame90:20170520225022j:plain
NHK美の壺」のサイトは「大根とねずみは江戸時代からよく使われた絵柄」だと言う。

大根は大黒様の掛詞。ねずみは子沢山の象徴。
つまり家族がさかえ、健やかであるようにという願いをこめられているのです。

大根は大黒様。…ちょっと苦しい気もするが、なるほどなるほど。
f:id:mame90:20170520225210g:plain
それで郵便局がねずみ年にこんな図案のはがきにしていたのか。

さて、「大根、意匠」と調べた時に避けて通れないのが浅草の待乳山聖天
大根と巾着袋のモチーフがあちこちにあり、お供えは大根、そして大根柄のお守りが売っているらしい。
大根をお供えする理由は下記の通り。

大根は人間の深い迷いの心、瞋(いかり)の毒を表すといわれており、大根を供えることによって 聖天さまがこの体の毒を洗い清めてくださいます。

もう乗りかかった舟だ、と大根を見るために、雨の中、待乳山聖天へ行ってきた。

期待を裏切らない大根。

隙あらば大根。
撮影禁止の本堂の中も大根の山。

本堂の下には三浦大根の箱。

社務所脇には姉崎大根のダンボール。

熱に浮かされるかのように、大根のお守りを買ってきました。
これが私の人生で初めての大根柄の持ち物。
江戸のモードにやっと乗れたぜ。

こんなはずじゃ


こんな~はずじゃあなかったよね~♪

去年のGW。浮かれ気分で千畳敷
高原のお散歩気分でロープウェイを降りたらそこは雪国だった。

去年の12月。浮かれ気分で日光。
木道を陽だまりハイクと思ったら笑っちゃうくらいに雪。

今年のGW。3年ぶりに西丹沢の檜洞丸へ。新緑が美しくて、水辺も多くて、歩きがいもあって、景色もよくて、とっても気持がよくてまた来たいと思っていたあの山。

シロヤシオはまだだけどミツバツツジは咲いてる。

富士山も見える。
しかし、苦しいです、サンタマリア。この山、こんなに登り一辺倒だったかしら。
前回は人と一緒におしゃべりしながら歩いていたから気が付かなかったのか。それとも3年の間に私の体力がガタっと落ちたのか。

このバイケイソウの木道を歩くのを楽しみにしてきたのに、ここまでこんなにキツかったっけ。こんなはずじゃなかったんだけど。

これだけ登ってきただけあって、景色は予想を上回る素晴らしさ。

下りの犬越路の怖さもまた予想以上。こんなにスリルとサスペンスに溢れた道だったかしら。怖さで指先がビリビリする。

風に吹かれるとか、ずるっと足を滑らせるとかしたら、真っ逆さまに落ちていける道。後で知ったことだが、4月の終わりにこの近辺で滑落事故があったらしい。

でも景色は素晴らしいんだ。

お花も咲いてるしね。

こんな鎖を登り降りするうちに余裕もなくなるし、足も上がらなくなるけどね。

なので、やっとの思いで沢まで降りてきたら、足が上がらず沢にはまったり。
あーあ。靴の中まで水が。


新緑は美しい。滝も美しい。でも今、頭の中にビールのことしかない。

何はともあれ生きて帰ってこれて良かった。山の神さまありがとう。

こんなにキツい山だったなんて想定外。
翌日、人生で最高レベルの筋肉痛で、スーパー銭湯の湯船の出入りも、どんな老人よりずっとよぼよぼだった。
人生初の液体バンテリンも買ったし、疲労のために風邪もひき、今日まで長引いた。

こんなはずじゃなかった。
こんなはずじゃなかったけれど、あれだけの景色を見た上に無事に降りて来られたんだから、まあ御の字か。

コアラが見たい

何年か前、上司が突然「パンダをここに連れてきてよ!俺はパンダが見たいんだ。パンダがこの椅子からぼてっと落ちたりするところを見て癒やされたいんだ」と言い出したことがある。
疲れてるのかしら、大丈夫かしらこの人、と思いつつ、職場の椅子から落ちるパンダの姿を想像して和んだものだ。

GW開けだし、毎日気温がジェットコースターみたいに上下するし…。
私は疲れているんだろうか。
今日、ふと目についたこの記事で、コアラの写真を見たら、なんだかもうコアラが見たくてたまらなくなってしまった。
f:id:mame90:20170511221132j:plain
コアラが見たい。ああコアラが見たい。どこならコアラに会えるんだ。
調べてみると現在日本にはコアラのいる動物園が8つ程あるが、維持費の高さからどこも縮小傾向にあるようで、検索しても不穏な話題ばかりが並ぶ。
ユーカリの栽培にも莫大なお金がかかるし、(なんでもコアラは30種ほどのユーカリの葉を食べるが、気まぐれに食べるユーカリの種類を変えるらしい)繁殖もなかなか難しく、日本のコアラの高齢化も進んでいるそうだ。
このご時世、コアラまで高齢化問題か・・・。
f:id:mame90:20170511220559j:plain
こうなったら、ラッコにシフトチェンジだ。
ラッコは貝が大好き。貝を割るための石を脇のポッケに入れているんだよ。眠る時は昆布を体に巻いて流されないようにするんだよ!
f:id:mame90:20170511224934j:plain
しかし、ラッコもまた、コアラと同じ状況下にあるようだ。
サンシャイン水族館 | ラッコの展示終了について
アラスカラッコ(展示中止) | 横浜・八景島シーパラダイス - YOKOHAMA HAKKEIJIMA SEA PARADISE
なんてこった…。
この先コアラもラッコもそう簡単に見れなくなるのか。しかも高齢化とか少子化とか、そんな世知辛い理由で…。
サンシャイン水族館八景島シーパラダイスなんていつでも行けるけど混んでるから行かなーい、などと贅沢を言っていた私のバカ。
今や関東でラッコを見られるのは茨城県大洗水族館だけだ。
f:id:mame90:20170511224733j:plain
家族でオーストラリアに行った時、「コアラを抱っこできる動物園なんて子供っぽいから行かない」と個人行動に出た高校生の私のバカ。
もう多摩動物園のコアラだって1頭しかいやしない。
横浜市金沢動物園でも5月2日にコアラが1頭亡くなったそうだ。

人間もコアラもラッコも、暗いニュースが多いもんだな。
だからこそ今、コアラが見たい、ラッコが見たい、椅子からぼとっと落ちるパンダが見たい。