光射す方へ 2017夏/青春2日目
青春18きっぷの旅、2回目は渡良瀬渓谷へ。
6:37新橋発快速ラビット宇都宮行き→7:51小山着→8:00小山発両毛線高崎行き→9:01桐生着
9:30のわたらせ渓谷鐵道トロッコ列車に乗る。トロッコ列車ってよく知らなかったけど、このように窓がない電車。
窓がない分景色がよく見えるけど、トンネルに入ると寒いし、音がものすごくて耳がおかしくなりそうで、窓付き車両に避難する人が続出。
苦肉の策か、列車内にイルミネーションを点灯してくれる。
それにしても草木トンネル、全長5,242 mとの事で相当長い。出口はまだか、まだトンネルは続くのか、早く外に出たい…と、強風と轟音の中耐え続ける。
桐生から約1時間半で通洞着。足尾銅山の観光などができるらしいのでここで降りる。
…ああ、何もないな。
とりあえず足尾歴史館へ。入り口に掲げられた垂れ幕に驚く。世界遺産を目指しているのか!!
かつて足尾の街にはこのようなガソリン軌道車が走っていたらしく、それを再現したものに乗せてくれる。
不勉強なものでまったく知らなかったのだが、足尾銅山は江戸時代に銅の採掘が始まって寛永通宝が鋳造されたが、その後採掘量が落ち込み、幕末から明治初期は閉山状態だったらしい。
それを今の古河グループの創始者の古河さんが買い取って有望鉱脈を次々に見つけて大鉱山になったのだそうだ。
そして、この足尾歴史館で説明してくれるおじいさんは親の代からずっと古河で働いてきた方のようで、非常に強い愛社精神が話の端々で感じられる。
このガソリンカーに対しても「当時、古河が住民のために無料で走らせて」と得意げだった。
フォードエンジンなんですってよ。
おじいさん曰く、「銅山は炭鉱と違って硬いので、炭鉱のような落盤事故はほぼない、安全な場所だった」「組合が強かったので最後まで閉山しなかった」「閉山してもみんな技術者なのですぐに次の仕事が見つかり、困ることはなかった」「退職の際に非常に高額な退職金や金杯がもらえた」との事。
中でも驚いたのは「田中正造のせいで足尾のイメージが悪い、古河はきちんと対策をしている。閉山しても会社がある限り排水濾過を続けているのに」との発言だった。
そうかー。そうなのか…。「対策してるんだからしょうがないだろ」と言える立場の人もいるんだよな、当たり前のことだけれど。
どんな立場をとるかによって物事の姿は大きく変わるんだなあ…。
あまりの驚きに帰宅後、少し足尾銅山鉱毒事件について調べてしまったが、あの事件はまだ解決していないらしい。
若干もやもやとあれこれ考えてしまったが、気を取り直して銅山観光へ。家族連れも割りといるし、きれいだし、楽しめるだろう…と思いきや。
本日何度目かのトロッコ列車をこういう所でおろされて
こんな暗い坑道を行くのだけれど、ところどころに苦しげな顔をした蝋人形がいる。
明るい所で見る分には「はあ、なるほど、堀大工は酒と博打でお金を使い果たすのかー」と呑気にしていられるが
水のしたたる暗い坑道に奴らが何人も現れたらもう怖すぎて怖すぎて、ひい!と息を呑み、一刻も早く外へ出ようと早足で歩く。
途中で別ルートも案内されるが、無理無理無理です。最短で行きたい。
昔の人は更にこのずーーーーーーーっと奥まで堀りに行っていたらしい。絶対イヤだ。ジュディマリじゃないけど、暗くて狭いところは苦手なのよ。
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ともかく人形を見ないように、うつむいて自分のつま先だけを見つめ、前のご夫婦の会話を心の支えに、離れないようについていく。
前にもこんなことがあったな、と思い出す。まだ弟たちが小さかった頃。
後楽園遊園地に連れて行ったら「楳図かずおのお化け屋敷」があって、弟たちと一緒に入ったのだ。でも怖くて怖くて3人でくっついて、下の誘導灯の矢印しか見ずに早足で出てきた。外に出た時の太陽の光の眩しさが嬉しかった。
今日も外の眩しさが嬉しい。でもまだ心の中に怖さが残っていて、外にも並ぶ人形のそばから一目散に離れる。
かつて栄えた名残すら、漂うレトロ感、時間の止まった感じすら、今の私には恐ろしい。早くどこかへ…もっと光の射す方へ。
ひと気のない町を歩き
わたらせ渓谷の眩しさに安堵し
レトロな駅で降りて
綺麗な緑の中をハイキングして
ダムに着く。草木ダム。でかい。
ハイキングコースのトンネルに「またトンネル!!」と震えはしたものの。
15:40神戸駅発→16:36桐生着→16:42桐生発両毛線高崎行き→17:31高崎着→19:35池袋着→19:53渋谷着で20:30頃帰宅。
本日の教訓。「一人旅は光射す方へ」