話しかけたかった
在宅勤務中は家があまりに静かなので、ラジオをかけたり、音楽をかけたりしながら仕事をしている。
そうするとだんだん懐かしい曲ばかり聞きたくなって、とんねるずやサザンオールスターズを聴いたりするが、なかでもハマったのは南野陽子だ。
本当にかわいかった。女友達の家にポスターが貼ってあったな、とか、友達の家で夕方再放送の「アリエスの乙女たち」や「スケバン刑事」見たなあ、とか。
中高生にありがちな、深夜ラジオにハマる年頃にはニッポン放送で「ナンノこれしきっ!」を聴いたりもしたっけ。
大映テレビ ドラマシリーズ アリエスの乙女たち DVD-BOX 前編
- 発売日: 2004/12/15
- メディア: DVD
緊急事態宣言も再発令されたし、何より寒いので外に出る気持ちがどんどんなくなってしまった。せっかくとれた相撲のチケットも人に譲ってしまった。
そうしてゴミ出しとスーパーくらいしか外出しない生活をしていると、昔のことばかりを思い出す。
刑務所の中で暮らしたり、小さな村から一歩も外に出ないような生き方をしていたら、こんな感じなんだろうか。
こんな風に思い出を飴玉みたいにしゃぶりながら生きるんだろうか。
そんな話が村上春樹の小説にでてきたな、なんてことまでぼんやり思い出す。
人間ゆうのは、記憶を燃料にして生きていくものなんやないのかな。
(中略)
大事なことやら、しょうもないことやら、いろんな記憶を時に応じてぼちぼちと引き出していけるから、こんな悪夢みたいな生活を続けていても、それなりに生き続けていけるんよ。もうあかん、もうこれ以上やれんと思ってもなんとかそこを乗り越えていけるんよ
村上春樹 「アフターダーク」
週に一度は出勤するが、もう外に出ることに不慣れになっており、ちょっと出かけただけでなんだかとても疲れてしまう。
そんな疲れた帰り道、久々に駅前のスーパーに行ったら、彼女がいたのだ。
オオルイさん。
駅前のスーパーのレジにいる、笑顔の素敵な女性だ。もう何年も見ていなかったような気がする。たまにオオルイさんを思い出しては「さすがにもう辞めたよね」と思っていた。
でもオオルイさんがいたのだ。あいかわらずの素敵な笑顔で。
帰り道、自転車をこぎながらずっと、恋のようにオオルイさんのことを考えていた。ああ、話しかければよかった。
「オオルイさん戻ってきたんですか」とか「オオルイさん、ずっとここにいてくれたんですね」とか。
「オオルイさん、ずいぶん長く働いていますよね、ずっとずっと前からあなたの笑顔に救われてきましたよ」って。
そうして、オオルイさんがどんなに素晴らしいかを他の人に説明したくなるけど、2014年の自分の日記を読み返したらそこで存分に語っていた。
2014年、7年前の時点で「もう10年ほど前から」と書いてるくらいだ。オオルイさんに初めて会ってからもう20年近くになるのか。
それでまた昔のことを徒然に思い出す。初めてオオルイさんに会ったときは、まだ前の会社に勤めていて接客に疲れ果てて心が硬くなっていた。
2021年になって、久々にオオルイさんに会った日は、ひきこもり生活で、心もちょっと閉じこもって硬くなっていた。
いつだってそんな時だ、オオルイさんがふと現れて素敵な笑顔を見せてくれるのは。
ああ、話しかければよかった。話しかけたかった。話しかけられなかったけど、オオルイさんが、今も素敵な笑顔のままでいてくれてよかった。
疲れ果てて笑顔をなくしたりなどしない、その強さこそがオオルイさんの素晴らしさだ。
オオルイさんに久々に会えて心が少し明るくなった。
話しかけられなかったけど、心に春が来たわ。
聖子ちゃんも聴かなきゃ…。
麗しき年
【腐女子】
腐女子(ふじょし)とは、やおいやボーイズラブ(BL)と呼ばれる男性同士の恋愛を扱った小説や漫画などを好む女性のことである。
Wikipediaより
初めてこの言葉を聞いたのはもう20年位前だろうか。
友人はすまし顔で「成人してるし、女子っていうのもアレだから、私は『貴腐人』ね」とうそぶいていた。
腐女子、という言葉は今や市民権を得たが、「貴腐人」はどうなのだ、と調べてみたところ、一般的ではないものの根強く生き続けているらしい。
ワタクシは腐女子とも貴腐人とも名乗りがたい、ただのミーハーではあるが、それでも我が家の男子猫2匹がいちゃいちゃするのを見るたびに「嗚呼、私に絵心があれば!そうしたら、擬人化して薄い本を出して荒稼ぎするのになあ」といつも思う。
さて、そんなことはともかくコリン・ファースの話だ。
自分の過去を漁ってみたが、そうか、コリンにハマったのは6年前か。
あれ以降、12月になれば、まるで忠臣蔵のごとく「ラブ・アクチュアリー」と「ブリジット・ジョーンズの日記」を見ている。2020年も見た。相変わらず素敵だった。ラブ・アクチュアリーももちろんいいけど、ブリジット・ジョーンズの高慢でお堅いトナカイセーターのコリンがいいのよねえ!
あれって、BBCでやってた「高慢と偏見」のダーシー卿がモデルなんですってね。ああ、コリンの「高慢と偏見」見たいわー♡
と思っていたら、なんと1月からAmazon Prime videoで「高慢と偏見」配信されてるじゃないですか。
箱根駅伝終わってすぐさまイッキ見した。そして興奮冷めやらぬまま友人鮭太郎に「コリンがいかに美しく素晴らしいか」という感想文を送り付ける。
鮭太郎は映画「モーリス」でルパート・グレイブスに惚れ込み、高校時代にイギリス留学まで決めたツワモノだ。そんなわけで、コリン・ファース→ヒュー・グラント→モーリスと話題が流れていく。
懐かしいな。モーリス。
小6の時、私に腐女子の世界を初めて教えてくれた友人モモコの家で夜中に見た。大人の世界をのぞき見したような気持ちでキャーキャーしていた。
そんなモーリスが!!!
年末年始に再度無料CPを提供してくれたU-NEXTでやってるので見る。
「モーリス見てるよ」と告げると、ルパートファンの鮭太郎は「げ!!」と一言LINEしてきた。
「完全に萩尾望都の世界だよね」と返信すると「NHKで萩尾望都の特集やってたよ」とのこと。しまった、忘れていた。
悔しさとモーリスの影響で「トーマの心臓」も読み返す。
なんで作中のゲイたちはコリンに手を出さないんだ。私だったら猪突猛進だ。
そして、最終的に「シングルマン」を見る。
これ見たら「ヴェニスに死す」だって見たくなる。恐ろしや、動画配信サービス。なんという守備範囲の広さよ。
そんなこんなで華々しく麗しくゲイムービーばかり見た正月でした。
NHKの萩尾望都は16日に再放送があるらしいので予約した。
私がコリンに身悶え、ホウ、とため息をつく間も猫たちはイチャイチャしていたが、アレね、あなたたちじゃやっぱりちょっと色気が足りないわね。
まあ、去勢してるからしょうがないか。
中華三昧
昔、中華三昧っていうラーメンのCMあったよな、もうあれもないんだろうな、と思っていたら、まだスーパーの片隅にひっそりとあって驚いた。
一度も食べたことないけど。
さて、中国語の勉強を初めて早一年。中国語にまつわるあれこれを見たり調べたりするうちに、中国ドラマもいろいろ見たし、中国茶にもハマったし、麻雀も習い始めた。
そして何より一番影響を受けているのが食生活だ。
今年から我が家の冷凍庫に常備されることになった、干豆腐。
干、というからには乾物だろうと、中華街の食材屋さんでウロウロしていたら、おじさんに「みんな騙されて乾物だと思うんだよね。でも冷凍なんだよ。何回も再冷凍、再解凍できるから。使うときは豆腐臭さを抜くためにまず茹でてね」と教えていただく。
千切りの冷凍も売ってるんだけど、私はこの反物みたいなタイプが好き。茹でて刻んで、冷菜に入れるのもおいしい。一番好きなのはセロリと牛肉と一緒にオイスターソースで炒めるやつ。味がじゅわっと染みてとても美味しいのだ。しかもローカロリー。最高かよ。
あと、これも常備するようになった調味料「羊名人」
真っ赤な見た目だけど、全然辛くない。クミンがものすごく効いていてエスニックな味と匂い。別に羊肉じゃなくても牛肉でもチキンでもフライドポテトにふっても美味しい。
もう一つ調味料だと、業務スーパーで売ってるこの姜葱醤(ジャンツォンジャン)。ネギと生姜の細かく刻んだのがまざっていて、冷奴にのせても美味しい。私はお粥に入れるのがお気に入りだ。
中華料理にハマったら、やっぱり朝のお粥に憧れるではないですか。そんな訳で最近お粥を炊く機会が増えている。圧力鍋があればすぐだしね。
おかげでピータンも箱買いした。いろいろトッピングできるのが楽しいし、古漬けにしたぬか漬けも大活躍だ。
あと業務スーパーと言えば、この葱油餅(ツォンヨゥピン)も素晴らしい。中華デニッシュという感じ。何かを巻いてもいい。ただ手がものっすごくベタベタになるので注意。
【新店】水道橋「台湾式朝食 健康豆漿」
— 80C[ハオチー]中華料理がわかるWEBメディア (@80Cjp) 2020年12月14日
住所:東京都千代田区神田三崎町2-8-12
本日12/14(月)にJR水道橋駅東口から白山通りを神保町駅方面に少し行った通り沿いに、台湾朝食メニューのお店がオープンしたので食べてきた。鹹豆漿&飯糰セット670円+税のところ、オープン記念580円(税込)で提供中。 pic.twitter.com/O6QO5sdSUt
更に、会社の近くにこんなお店がOPENしたので、先日早速行ってきた。憧れだったのだ、鹹豆漿(シェントウジャン)。
この前中国語の先生にも「中国では朝ごはんに豆乳を飲みますね」と言われたばかりだ。温かい豆乳を黒酢の上に注ぎ、おぼろ豆腐のようになっているという。
ネットで作り方も調べたのだけれど、まずはお店でプロの味を…と出かけた。
ふわふわの優しい味。あーこれは朝に最高だね。優しい中にラー油とか漬物?的なものが入ってアクセントになっている。
水道橋付近は周りに中華料理屋さんも本当にたくさんあったので、またいろいろ探検しようと思う。
やっぱりアジアのご飯て最高に美味しいよな。ご飯のおいしい国っていいよな。
さあ、お腹いっぱいになったところでまた勉強頑張ろうっと。
いいひと
【優勝決定戦】 貴景勝 大関初優勝!!
— nhksumo (@NhkSumo) 2020年11月22日
鳴りやまない拍手!#貴景勝 - #照ノ富士#大相撲 #11月場所 千秋楽#優勝決定戦 #大関初優勝
幕内の全取組動画はこちらでチェック↓↓https://t.co/ayXDmoPB53
大相撲の特集記事はこちら↓↓https://t.co/1f2miYxMFh#NHK大相撲 #sumo #nhksumo pic.twitter.com/cfCEPLnwi8
去年の春頃、NHKの「スポーツ×ヒューマン」というドキュメンタリーで大関昇進が決まったばかりの貴景勝の特集を見て驚いたことがある。
タクシーに乗り込む貴景勝に友人からLINEがどんどん来るのだけど、友人たちは皆大学生で、普通にわいわい遊んでいる様子だった。
大きな体でやたらめったら貫禄があって、むっつりしていて感情をあまり表に出さない、口下手な昭和のベテランみたいな風格の貴景勝、この子、まだ22歳の若者なんだな、と改めて思ったのだ。
普通の子だったら、就職活動やら恋やらで泣いたり笑ったりしている中、この人は「ナメられたら終わり」な世界で大関の貫禄出して生きてるんだな、としみじみ感動した。
しかも部屋の問題や、ご両親についてメディアに好き放題言われる中で。
ハンカチ王子の時にも思ったけれど、若いうちからあれだけメディアにおもちゃにされて好き勝手なことを言われ、付け回され、写真を取られ、その上結果を求められ、そんな中で精神を病まずに生きているなんて、それだけでも敬服する。
先日、麻雀教室でスポーツ選手の不祥事の話をあれこれ振られ、「私はアスリートに人間性は求めていません」と言ったら笑われた。
でも、アスリートってある特定の競技に能力が特化しているからバランスの悪い部分があるのは当然だと私は思うのです。
その人に「ファンサービス」とか「人間性」とか「常識」まで求める必要あるのかな。
もちろん応援している選手がファンサービスもメディア対応も神で人間性最高だったら素晴らしいとは思うけど、必須条件ではないのでは?と。
さて、これは4年前、仙台場所の琴恵光。
この時はまだ名前も知らなくて声もかけられず、「キャー♡あのイケメン力士誰、素敵!!」とトキめいて密かにファンになった。
そこからずっと応援していて、先場所くらいから力強さが目立つようになり、今場所も序盤は本当に素晴らしかったのだけど、中盤から連敗続きで負け越してしまった。
応援しているから余計なんだけども、どうしてもここ一番であっさり負けてしまうように見える。十両で優勝争いに絡んだときだって、あっさり身を引いてしまったし、「お、ここから勢いつけてどんどん番付あがってくるかな」と思っても、上がったり落ちたりだし、真面目で人が良いんだけど、どうも強くなりきれない感じというか。
その話を以前に、相撲友達で栃煌山大好きなつるちゃんにしたら、激しく同意された。
「そうなんだよ、栃煌山もさ、いい人で真面目すぎるんだよね。立合いも絶対変化しないし。けどそれでイマイチ上にあがれない」
プロ野球の解説でもしょっちゅうピッチャーが「彼は優しすぎるところがありますからね」なんて言われてたりする。
勝負の世界だと「優しい人」「いい人」だけじゃダメなんだよな。特にピッチャーはそれではダメな気がしていたが、お相撲さんももちろんそうだよな。
…というかアスリートはそうだし、アスリートにかぎらず「競争社会で生きていく」ってそういうことだよな、と思う。
「真面目に生きてきたから」「実直な人間だから」成功するわけではない。真面目に生きてきた人間がバカを見る、というのも正直当たり前のことだと思う。
動物の世界だってそうだろう。
今年の大相撲、毎場所優勝力士が違い、幕尻からの優勝があり、怪我からの復活優勝があり、大関昇進をかけた優勝があった。
そんなドラマの中で、貴景勝は「壁」として存在していたし、悪役のように扱われたりもした。コロナ禍のリモート取材に応じないからとメディアに叩かれていたこともあった。
でも、悪役になれるって「強さ」だよなと思う。
正直今場所の優勝決定戦、照ノ富士を応援していたけど、勝ったあとの貴景勝の表情と優勝インタビューにグっときた。立派だった。
だからねー、あのー、琴恵光。
いい人なところ、真面目なところも好きだけど、いいひとじゃなくてもいいよ。無愛想でもファンサービスしなくても、コメントがぶっきらぼうでも全然いいよ。ぶっちゃけ隠し子がいようが、二股恋愛してようが構わないんだぜ。
どんどん勝って、三役に上がるの楽しみにしてるからな!
スキだらけ
昔、よく行っていた飲み屋で、常連の男たちにしたり顔で言われたもんだ。
「まめはさ、隙がないんだよな。もっと肩の力抜けよ。やっぱ隙がないと男は寄ってこない」
今思い出しても並べて正座させたいくらいにはイラっとするけど、今の私はスキだらけよ♡
スキはスキでも、LIKEとかLOVEのスキの方。
去年の12月から中国語の勉強を始め、8月にはHSK3級を受けた。12月には4級を受けるつもりで勉強を続けているが、そんな中、ふとした拍子で麻雀を覚えたいと思い、8月末から麻雀教室に通っている。
お金を賭けない健康麻雀。なかなか難しくてまだルールすら覚えきれておらず、毎回先生にマンツーマンであれこれ教わってから卓に入れてもらう。
卓に入る際、先生が周りの方々に「この方はまだ初心者で点数計算等はできません。とても多趣味な人で、コアラが好きで、野球が好きで、相撲も好きで、猫を飼っていて、中国語を勉強していて…」と紹介してくださる。
…そう…私…そんなに多趣味かしら。。。
多趣味故に飽きっぽいと思われたか、先生に「相撲を好きになってどれくらいですか」「野球はいつごろから見てるんですか」と問われ、答えると「ああ、好きになると長いんですね」とちょっと安心される。
うん、まあ、そう。すぐに飽きるとかではない。。。細く長くあれやこれやに興味がある。
猫を飼い始めてから旅行に行けなくなったし、コロナもあって野球や相撲もなかなか見に行けない。
でも毎年秋にはきのこ中毒のニュースを集めるし、大学ラグビーのスケジュールだってチェックする。そうして「やっぱり面白いなあ」とか「やっぱり好きだなあ」とか思うのだ。
先日は、本当に久々に山友達のおじいさんとハイキングに行った。山に行くのだって1年以上ぶりだ。そんなわけでリハビリも兼ねて丹沢の端の巡礼峠。
久々に歩く山道の感じや、上から見渡す景色に「ああ、やっぱり山っていいなあ」としみじみ嬉しくなる。そんな有名な山やすごい山に行くほどじゃないけど、山歩きが好きだ。また暇を見つけて山に行こう。
sumodo-movie.jp
11/1は映画が安い日だったので、「相撲道」というドキュメンタリー映画を見てきた。もう引退してしまった豪栄道が本当にカッコよかった。満員で大歓声の国技館が懐かしかった。
これもまた「やっぱり相撲っていいな」と思ったし、11月場所が楽しみになった。
帰宅後はちゃんこ作った。
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イヴの眠り 文庫版 コミック 全3巻完結セット (小学館文庫)
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- メディア: 文庫
そんなこんなで好きがいっぱい。好きだらけ。
猫を可愛がり、相撲を見、CSでラグビーを見、麻雀習い、中国語も勉強して、山も行きたいし、来年は国技館も野球も行きたい。
やりたいこといっぱいで隙がないのは確かだわ。
どんなときも
♪昔は良かったねといつも口にしながら生きていくのは本当にいやだから~
…ってほどイヤではなく、「昔はよかった」と思うこともある。「今もわりといいよね」とだって思う。負け惜しみと言われるかもしれないけど。
9月の終わり、Twitterでラグビーアカウントが「あの熱狂から1年」と騒ぎ始め、「ああ、ワールドカップから1年か」としみじみした。
そしてかえる姉さんと「去年の今日、みなとみらいに行ったよね。本当に楽しかったね」とLINEした。
私は正直、このコロナ禍での引きこもり生活が好きなので、それほど「以前の生活に戻りたい」とは思っていないのだけれど、スポーツに関してだけは「あの熱狂をもう味わえないのだろうか」と少し寂しく思う。
アイルランド対スコットランド、ハーフタイムに流れたカントリーロードを両国のファンが大合唱したのは鳥肌ものだった。途中でスタジアム側が音楽切ってファンが歌うに任せた演出も冴えてた。あれは自分が観戦した中ではこの試合だけだったと思う。#あの熱狂をもう一度 pic.twitter.com/yhRSunmrss
— celtista (@celtista) 2020年9月22日
去年の今頃、新横浜がハチマキ姿の外国人たちに占拠されていたこと、みんなで大声でカントリーロードを歌った事、まるで全部夢のよう。
Jsportsでもここぞとばかりに去年の試合を放送し始めるので、見てはまた涙ぐむ。
あの日、スタジアムに行けて本当に幸せだったな。
大会期間中、ファンゾーンも会場までの道のりもずっと楽しかった。
帰宅後に録画したの見ながらかえる姉さんと夜中までまた実況LINEしたり。
「四年に一度じゃない、一生に一度だ」というキャッチコピーを、今年になっても噛みしめている。
<正代優勝!>
— 日本相撲協会公式 (@sumokyokai) 2020年9月27日
取組後、付け人の津志田と涙。#sumo #相撲 #9月場所 #秋場所 #正代 pic.twitter.com/clIPjuv3Kp
さて、今年は相撲も本場所を見に行けたのは1月が最後だ。その後、2月に豪風の引退相撲を見てからは国技館に行けていない。
7月場所、9月場所はチケット発売されていたのだけれど、飲酒禁止、飲食も控えめに、座席も1個とばし、掛け声禁止、等の制約が多くて、なんとなく「まだいいかな」と見送ってしまった。
その代わり、テレビ中継はよく見た。何せ今はテレワークメインで週1,2回の出勤なのだ。
場所中は13時からabemaTVを流しながら仕事していた。おかげで照ノ富士や千代の国や宇良くんの復活も、翔猿の活躍も、正代の優勝もバッチリ追っていた。
正代、初優勝おめでとう。今場所の正代はカッコ良すぎてビビった。
ほんわかくまモンかと思ってたらヒグマみたいだった。
「パレードないの残念だね~、でもあの時の優勝パレードも良かったねえ」「ナイス人選だったよねえ」なんて相撲友達と過去を懐かしんだりもした。
こんな風に家で、時折猫を撫でながら、相撲を流しながら、仕事できる今だって相当幸せだよ。
この先どうなるかわからないけれど、去年と同じように金木犀の花の香りのする秋の夜、猫を撫でながら思う。
過去を振り返って「あの頃楽しかったな」と思えるのも幸せだし、今も悪くないなと思えることも幸せだ。
11月場所も家で相撲を見ながら仕事したいです、サンタマリア。
青年の主張
我が家のにゃんずが間もなく2歳になろうとしている。人間でいうと24歳だ。
もう立派な青年だ。
まだ未成年だった昨年の夏とは違う。大人になった彼らは今年の夏、勇猛果敢に狩りを始めた。
常日頃ベランダからカラスに睨みをきかせるも相手にされず、鳩にバカにされ、雀にからかわれ、それでも「俺たちは猛獣である」という誇りを忘れたことのなかった彼ら。
そんな彼らが今年、特に情熱を注ぎ追い続けるもの、それは蜘蛛、てんとう虫、羽虫、カメムシ、セミ、トンボ。
てんとう虫、羽虫はいい。だがカメムシはダメだ。部屋の中で潰れたら大惨事だ。
そんな訳で私はこの夏、哀れなカメムシを何匹も猫の魔の手から救い出し、ベランダの外に逃がしてやった。
そのたびに猫は「…は?」と額に怒りマークを浮かべた驚愕の表情で私を見つめる。
しかし、この夏私が何よりも苦心したもの、それはセミだ。
セミの野郎…セミファイナルを迎える前に何故よりにもよって我が家のベランダに舞い込むのだ。ベランダでがさがさとのたうつセミの羽音に猫は狂喜乱舞して、「出せ!!俺たちをベランダに解き放て!!!」と迫る。
NO!NOOOO!!
「君たちの気持ちはよくわかる!だが、ここはどうか私の気持ちを汲んでこらえてほしい。君たちが狩りの名手であるということはもちろん承知している。私にプレゼントしてくれるというご厚意も非常にありがたく思っております。ですが!!どうか!!」
冷や汗をかきながら政治家のように訴えてみるものの、シュプレヒコールの波はやまない。
「我々は!管理され!抑圧され!搾取されているのである!!我々は!セミを追う自由!猫としての自由!自由である権利を!主張するものである!!」
暴徒と化した彼らは自ら網戸を開け、ベランダに突進し、まだもがくセミを口にくわえて凱旋しようなどと試みるのであった。
機動隊、そこは死守。そして決死の覚悟で瀕死のセミを奪取し、屋外へ逃がす。
猫の恫喝に屈することも、「虫、さわれないー」なんて甘えた発言も許されない。この荒くれ者どもとの生活では。
羽のちぎれたセミも、もがき苦しむトンボも、新聞紙やティッシュでつまんで外に捨てるのだ。
そんなことができるようになった。いやならざるを得なかった。
猫の成長と共に、私も強くなったのだ。
さてそろそろ猫に夜食を出す時間だ。
遅れようものならこんこんと説教されるだろう。嘘だと思うかもしれないがにゃーにゃーとよくしゃべる猫たちなのだ。
「ねえ?愛しているというならば、まずはボクらに対してご飯を出すべきなのではないかな?誠意ってなんだろうか。」
…そうですね。すみません。誠意ってご飯ですよね。ホントすみません。只今。すぐ。