君拾帖

すきなことだけてきとうに

二度訪れる夏

学生の頃、夏休みはいつも、7月はすごくゆっくり感じられて「夏休みが始まった!」「まだこんなに夏休みが残ってる!」と思っていたのに8月に入ったらあっという間だった。

きっと学生さんたちは今「夏休み始まった!」とのんびり構えているんだろう。大人たちはビヤガーデンのオープンや子どもの夏休みや蝉の声や、学生がいなくなって空いた電車に「夏が来たのか」としみじみしているんだろう。

けれど、もう夏は相当たけなわだ。都市対抗も終った。みんな、甲子園が始まるまではまだ本当の夏じゃないと悠長にしているかもしれないが地方大会も相当進み、各地で決勝戦が行われ出場校が決まってきている。
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これは今年の愛知県大会の熾烈なベスト8組み合わせ。
今日、愛知県大会で愛工大名電中京大中京に負けた。名電OBの同僚タカハシさんは「夏、終わったな」と言っていた。
そうだ。
高校野球の地方大会が始まると夏が始まる。そして地方大会で負けると夏が終わる。
やってる選手達は本当に夏が終わって、高校3年間の部活が終わる。
見ているだけの人間は地方大会の終了と共に1度夏が終わり、甲子園の開幕でまた夏が始まる。

これは2014年
高校野球を地方大会から見るようになって、最初は自宅にテレビがなかったこともあり、なんとしてもこの目で見届けなければ、と有給をとって球場へでかけた。
テレビを買ってからもTVKの放送がなければ「絶対行かなければ!」と有給をとった。
だんだん年もとってきて、夏の日差しが億劫で「テレビでいいかな」と尻込みしたり、面倒くさいなあと思ったり。
けれどそんな私を急き立てるようにGoogleフォトが言うのです。
「2年前の今日はこうだったよ」

これは2015年の相模原球場

今は楽天イーグルスの藤平くん。

2013年、カメラを買って、嬉しくて撮った現日ハムの浅間くんと高濱くん。
毎年毎年この時期の写真フォルダには代わり映えしない写真が並ぶ。代わり映えしないけど確実に変わっている世代、確実に変わっていく高校生のお兄ちゃんたち。

だから今年も球場に行くんだ。「暑いんだろうなあ」とめんどくさがりつつ。曇り空に感謝しつつ。

若いってことにやたら圧倒されつつ。
やっぱ野球のユニフォームは高校生の太ももパツパツな着こなしが一番いいよな、とかちょっと変態みたいに思いつつ。

0-2のビハインドから同点2ランホームラン打ってベンチで監督におそらくチューされてる増田珠くん。1年の時からレギュラーだったけどもう3年生か。このままプロに行くかしら。

双方必死の形相でアウト、セーフアピール。

去年スーパー1年生って鳴り物入りで入ってきた万波くんの3ラン。


最後のボールをキャッチする増田くん。

土曜日の決勝戦のために予定は空けてあるけど、決勝まで行くかしらね。
きっと暑くてうんざりして面倒くさいって思いながら出かけるくせに、見てる間は暑いのも忘れてるんだろう。
勝っても負けてもそこで一旦夏が終わる。
あとはテレビで甲子園見ながらアイス食べている間に決勝が来て、そして本当に夏が終わる。
それは「水戸黄門」を見るのと同じくらいの様式美で、そんな繰り返しがしみじみ幸せ。

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男子の世界


男には自分の世界がある 例えるなら空を翔ける一筋の流れ星
各地の地方球場からこのメロディーが聞こえてくる季節になった。

まもなく産休に入る同僚が、夏休みに入った長男くんについて「持って帰ってきたお道具箱あけたら、いろんなものがぐっちゃぐちゃになっていて、色鉛筆は2本しか残っていなかった」とボヤいていた。
…私が小学生の頃の周りの男子もそんな感じだったが、今でも男子はそうなのか。生まれた時からインターネットもスマホも普及していて、iPadで遊ぶような子供でも!
更に長男くんは最近替え歌に凝っているらしく、どんな歌でも「うんこちんこ」と歌うらしい。
男子あるある。
「うんこ漢字ドリル」が子供に大人気という話を聞いたときも、「今どきの子供でもうんこに夢中なのか」と驚いた。アキラ100%の芸風がウケるのもそうだけど、最近の子ってもっとこう…「男子バカじゃない」っていうクラスの女子みたいに冷めた子が多いんじゃないか、と思っていた。
変わらないものってあるんだな、と妙に安心。

さて、人間赤ん坊の状態で生まれて大人になって、そして年をとって呆けてまた赤ん坊に戻る、なんて言われるが、今丁度私は戻っていく過程なんだろうか。最近ラムネ菓子とEテレと動物園が好きで、子供の領域にお邪魔する機会が増えている。

象を見るだけで「ぞうしゃん!!!!!!ぞう!しゃん!!!!!」と絶叫する子どもたちを横目に「…あの新鮮なトキめき、取り戻したい…」と心底思う多摩動物園の象舎前。

象を見つけた後、子どもたちの視線はやはりうんこに釘付けだ。「うんこ!!!でけー!!」「ママ見て、うんこ!!」と男児たちが次々見たままの感想を述べる。

動物園もちゃんと奴らのうんこ好きをわかっているから、こんな風に展示をしてくれている。

タケノコみたい。枕みたい。
穂村弘の有名な短歌に「サバンナの象のうんこよ聞いてくれだるいせつないこわいさみしい」というのがあるが、サバンナの象のうんこは多摩動物園の象のうんことは違ったりするんだろうか。

4月に行ったズーラシアでは「大うんち展」というのを開催していた。もちろんうんこ好きな子どもたちを狙ったものであろう。しかし事前に調べた私も若干心ひかれていた。

大うんち展開催中だけあって、入リ口のイベント看板にも「ゾウ糞ペーパー作り」の告知。象のうんこは悩みも聞いてくれれば、紙にもなるのか。
ゾウ糞ペーパーは結構有名らしく、無印良品でも販売してるんですって。
それ以外にもアフリカでは象の糞を乾燥させてお茶にして飲むらしい。なんでも、産後の肥立ちの悪い女性、虚弱体質、病後の疲労回復に効果があるとされているそうだ。

繊維たっぷりそうだしな。
ちなみにインドでは牛糞を1週間以上乾燥させ、高温で滅菌して砕き、様々なものと混ぜているらしい。防虫用に壁に塗り込んだり、シャンプーとか歯磨き粉とか。…歯磨き粉はちょっと…。あっちで牛が神なの、知ってはいるけど、でも。

会場内に並べられた各動物のうんこたち。
その上にはそれぞれのうんこ事情の説明パネルが並んでいる。
カピバラは敵に居場所を気づかれないよう水中でうんちやおしっこをする。水辺がないと我慢する」そうだ。
カピバラも大変だ。ていうか、冬になるとよく写真にあがってくるカピバラ温泉なんかうんこだらけなんじゃないのか。
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また「タヌキあなぐまは共同トイレ。タヌキはトイレが情報交換の場だがあなぐまは別に…」らしい。あなぐまはトイレで無言。


この大うんち展で一番驚いたのは壁にずらっと並べられた、この、各動物たちの排泄中を捉えた貴重なショットだ。
なんだろう、この背徳感ていうか変態感。
こんなに各動物の決定的瞬間を捉えるのは大変なことだったろう。その情熱たるや…。
人間だったら完全アウトだ。お縄頂戴だ。でも駅のトイレに盗撮カメラしかける男性ってたぶん、これを撮影している人と同じくらい純粋な興味と研究心があるんじゃなかろうか…。

うっかりいろんなこと考えそうになるけど、難しいこと考えちゃダメだ…。
うんこはうんこって言うだけで面白かったらそれでいいんだ。
それがきっと男子の世界。

headlines.yahoo.co.jp
山口県でもうんこ展が始まるらしいよ!

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曲がり角ごとの驚きXⅢ 傍観者・丼・後悔

傍観者には自己の歴史がない。傍観者は舞台の上に居るには居るがしかし、役者ではない。傍観者は聴衆ですらもない。芝居とそれを演ずる役者の命運は聴衆に左右される。が、傍観者の反応は彼以外の他の誰にも効果を及ぼさない。とはいうものの、傍観者は----劇場の消防係にたぶん類似して----舞台の袖に立って役者や聴衆が気づかずに見過ごすものを見る。なかんずく、彼は役者や聴衆とは異なる見方で見る。そして彼は省察する。----省察は鏡ではなくプリズム、それは見たものを屈折させて映し出す。
        ピーター・F・ドラッガー 「傍観者の時代」


渋滞にうんざり疲れて入った夜8時のサービスエリアで、「軽いものでいいや」と500円くらいのヘルシー丼を選んで食券が出た途端、「あー、やっぱり800円払っても普通の海鮮丼にしておくべきだった」って思うことってある。
それを思えば「後悔のない人生」なんてあるもんか。人間、何したって後悔する。

昨日は友人の誕生日ホームパーティーに招待されて行ってきた。学生時代のインカレサークルで知り合ったA。小じんまりとやるのかと思っていたら、朝になって総勢15人くらい招待したという連絡が来て、面倒くさいなあとゴロゴロしていた。
人見知りだし、コミュニケーション能力も高くないし、暑いし。

でも行ったほうがいいんだろう。年取るとだんだん交友関係も狭くなるし。
狭くて何が悪いのかと思わなくもないけど、まあ一応。
動物も人間も社会って大事だからね。

よいしょ、と重い腰をあげ、焼鳥とビール買ってA宅へ。「だいぶ盛り上がってるよー」と迎え入れられた会場では、Aと同じゼミだったというB氏の人生初の恋人お披露目会見が始まるところだ。しかも何月何日に出会い、何月何日に初デートをして…という詳細版。
…長くなりそうだぜ…。

うん…、なるほど、そうか。これは海鮮丼でいうならヘルシー丼。
このふにゃふにゃで話も行動も段取りの悪いB氏は甘~い卵焼き。「ネバネバ系の食べ物が大好きです」という恋人のCさんはオクラだな。
B氏と喧嘩しそうになると「また怒らせちゃって私はダメな人間だ」とCさんは思うらしい。
私だったらスリッパで引っ叩くところだが、これがB氏をメロメロにする「慎ましさ」と「誠実さ」なのだな。お似合いカップル。

そんな2人の甘くネバネバな話に意味不明の茶々を入れ、話の尺を引き伸ばすDは納豆。
素材の味を殺さぬよう大人しく正座して頷きながら話を聞くご学友3人は白米かな。声も小さく、どんな場所でも波風立てず嫌われもせずひっそりと静かに粘り強く生きていけるタイプで、昔はそういう人になりたいと憧れたものだ。
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時折自分の思い出話をぐいぐいと挟んで皆をまとめようとする主催者Aは醤油、「妹の生き方は危うい」「あなた方はなぜ結婚していないのか」「あなた方はどこの会社で何の仕事をしているのか」とスパイシーわさびなAのお姉さん。
コミュ力の高い働く女子ですー、気配り上手なんですー、○○さんのネイルって素敵ですねー、みたいな青じそ女子。大人たちの視線を卵の黄身みたいに絡め取っていく幼子を連れた夫妻。
若き日に学生運動的なものに参加してしまって以来、ちょっとこじらせてる燻され沢庵50代男性。

そんな中に燦然と現れる、元ダンサー、元スポーツライター、海外在住歴有の大トロレディ。
かれこれ3時間以上続いている長い自己紹介、大トロさんの後では辛口のわさび姉さんもキラキラ働く青じそ女子も「私なんてつまらない人生で」「もっと冒険すれば良かった」とぼそぼそ言う。
大トロさんは大トロさんで「もっと堅実に生きれば良かった。才能もないのに追い求めてる場合じゃなかった」と苦笑する。

人は皆、ないものねだりなものですね、神様。

ようやく終わりかけてきた自己紹介を傍目に、輪から外れたところで大トロレディがぼそっと言う。
「最初のあの知らない人ののろけ話、何?どうでもよくない?帰ろうかと思ったわ」
その言葉に納豆子は困惑し、悲しげな顔をする。
ごめんね、私も「ああ、今日はヘルシー丼だな、ヘルシー丼って若干欺瞞の香りがするよな」くらいのことは思ってた。帰るタイミングも探してた。

期待を裏切らない大トロレディは帰りのエレベーターの中、主催者Aに「どういうつもりで私を今日呼んだの?」とバッサリ仰る。「ここにいても大丈夫な人を呼んだの!」と笑顔のA。
そうだねえ、大丈夫だけど、ヘルシー丼にはもったいないかもしれないね。マグロ丼の主役になれる人だから…。

キラキラ光れば光るほど影も濃い。
駅までの帰り道、大トロさんは「どうやったら人生を幸せだって思えるんだろう」とポツリと言う。
何やったって後悔はするんだから、自分で決めて生きてることをいいって思うしかないんじゃないと無責任に返事する。

やれやれ。
世の中いろんな人がいて、みんなそれぞれないものねだりして、毎日何かしら後悔して生きてるもんだね。
そして、年をとったせいか深入りするつもりがないせいか、おとなしく無難に真面目に生きてる人より、クセが強くて人を困惑させたり怒らせたりしちゃうくらいにハッキリ物言う人が、やっぱり面白いね。

と、傍観者の私は省察し、屈折させてこんなの書いてる。

傍観者の時代―わが20世紀の光と影 (1979年)

傍観者の時代―わが20世紀の光と影 (1979年)

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理想の職場

会社から東京ドームへは約10分、神宮だったら30分。
カープファンの係長、中日ファンの同僚もいて、ちょくちょく野球の話もできるし、高校野球勝戦に行くために有給をとっても怒られない、野球好きにとってありがたい職場だ。

6月は営業年度締めや、もうすぐ産休に入る主任の仕事の引き継ぎもあって、とても忙しかった。7月になったら高校野球も始まる、名古屋場所もある…それを楽しみに頑張ろう!
という6月の終わりかけ。

お取引先に、去年突然パタリロ似の新人くんが現れた。
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殿下と同じくお育ちの良いおぼっちゃんで、GW後にはテニス焼けをして現れ、「さすが殿下!」「白いポロシャツ似合いそう」と我々の間で評判だった彼。
彼がなんと、2軍の試合も含めて年間50試合も観戦するコアな日ハムファンであることが判明したのだ。
テニスの王子様かと思ってましたよ」と言ったら「いや、テニスも好きですけど20年来のハムファンです。札幌行く前からです」と胸を張って仰る殿下。更には岩本勉と記念撮影した写真やら、選手のサインで溢れかえったユニフォームの写真やらも見せてくれた。

「あの殿下、年間50試合も見に行くハムファンだったよ!」と中日ファンのタカハシさんに伝えた所、「えええ!年間143試合なのに50試合も行くの?3割出席?」と驚いていた。
…そ、そうね、3割5分くらいね…すごい打率…いや出席率…。

殿下に「私は西武ファンで、今度の東京ドームの日ハム戦見に行くんです」と伝えた所「お!!東映フライヤーズ戦ですね!僕も行くんです!」との事。全然知らなかったけれど、東京ドームでやる2試合はレジェンドシリーズで、東映フライヤーズの復刻ユニフォームなんだそうだ。

そんな訳でスコアボードもフライヤーズ。
ライオンズ5連敗してるし、あっちは高梨、こっちは岡本洋介。まあ負けるだろうな、大谷くんと大田くんと源田くんを楽しみに見よう。写真撮ってあとで殿下にも見せてやろう。

大谷くんと源田くん。

大田くん。

…などと思っていたら、ライオンズ勝った!!!
翌日現れた殿下は苦笑いで、「昨日良かったですね…。ウチの上原…あれ、去年のドライチなんですよ…あれでも」と、昨日ボコボコに打たれたピッチャーについて伏し目がちで仰るので、「で!でもイケメンで、ス、スタイルいいですよね、彼」…と謎フォローを入れた上で「今日、観戦なんですよね。楽しんできてくださいね!」と送り出した。

が、今年のハムはダークサイドに堕ちてしまったのか、その日もライオンズの勝ち。おまけに試合終了時刻の東京ドーム近辺は豪雨だったらしい。きっと身も心もびしょ濡れだっただろう、殿下…。

そんな試合の2日後に我が社で大きなイベントがあった。
球界のレジェンド、山本昌さんの講演会。

正直、7月一番の楽しみはこれだった。4月の申し込み開始日にはタカハシさんと気合を入れて朝イチで申込みを済ませ、カレンダーに予定を記入してウキウキ浮かれ、6月の忙しさの中も「7月に入ったら昌さんだから!」と励まし合い、講演会の日は絶対残業せずに済むように綿密に計画を立て「4日開通チェック、5日営業催促、6日昌さん!」と声出し確認。


当日は2列目センターゲット。
今まで、野球選手のトークショーやイベントに行ったことがなかったので、なんだかもう夢のように浮かれた。星野監督、立浪、ラジコン、と期待を裏切らないトーク運び。野球もすごいけど頭もすごく良くて、だからこそ長くやってこれたんだな、と心底感動した。

中日ファンじゃなくても野球ファンならみんなうらやましがると思う。
なので講演会前も後もタカハシさんと「そういや殿下に“昌さん来るんで”って自慢しないとね」と計画していたが、うっかりライオンズが3連勝してしまったせいか、あれからパタリと音沙汰がない。
昨日もハンカチ王子で負けてしまったし、今日も大谷くん久々の登板が2回持たずにKOで負けちゃったし、相当しょんぼりしてるだろう。ああ、でも早く殿下に自慢してやりたい。


先日、電車の中で偶然、前の職場の同僚Kちゃんに会った。前の職場は今の言い方で言えば完全な「ブラック企業」だった。今はわりと落ち着いたみたいだし行政の指導もあるので、有給ももらえて休みも週2日あって、残業代も出るらしいけれど、当時はそうじゃなかった。若さと使命感みたいなもので10年頑張った。
そんな話をKちゃんとして、「頑張ったよねえ、私達」と称え合った。「でもあのままでは続けられないから、ポストも給料もどうでもいいからともかく休みをください、ってお願いしたの。それで楽になった」とKちゃんは言っていた。
あの頃、本当に余裕がなくて、常に溺れかけみたいな状態でキリキリして鬼婆みたいに怒って仕事をしていた。もっといいやり方があったのかもしれないという後悔も今でもある。

きっとハリーに「喝!」出される…。

それを思うと、本当に今の職場は恵まれている。完全週休2日で有給もとれて、うまく仕事を組み立てれば残業もしなくていい、おまけに野球好きな人が周りに結構いて、球場も近い。講演会に山本昌さんも呼んでくれる。
そりゃあ毎日いろんなこともあるけれど、ここで働けて本当にラッキーだなとつくづく思う勤続8年目。

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曲がり角ごとの驚きⅫ コアラの園


春先に三浦半島へ遊びに行ったら「エデンの園」という老人ホームの広告がバンバン貼ってあってちょっと驚いた。
エデンの園…か。エデンの園ってあの、パンツはいてないとこだけど…。

それはさておき、関東でコアラを見ることのできる動物園は3つある。多摩動物園埼玉県こども動物自然公園、そして横浜市立金沢動物園
多摩動物園はコアラはもう1頭しかいない。金沢動物園は昨年コアラの子供が死んでしまったり、4月にコアラがリンパ腫で亡くなったり、悲しいニュースが続いていたけれど、どうやら名古屋からコアラが来たらしい。


鎌倉へのハイキング中に通り過ぎたことしかなかった金沢動物園、これを機に行ってみようとでかけた。

京急金沢文庫駅からバスで10分くらい。海を見下ろす丘の上。


入り口がテーマパークみたいになっていてコアラが指揮するオーケストラもいるので、期待が高まる。

金沢動物園のコアラは2頭ということになっていて、まだ名古屋から来たチャーリーは記載されていない。そしてユウキは今日休みなのでユイだけ。

ランチタイム以外はずっとユーカリに埋もれて寝ている、ちょっとクールな女の子、ユイ。

…そうね…。100%そのとおりね…。クールね…。
埼玉のコアラが愛想が良かったせいか、なんだかちょっとしょんぼりしながら帰宅し、翌日は埼玉へ。
別に金沢動物園は何も悪くない。ただ、私がもう埼玉のコアラを知らなかった頃に戻れないだけ。知恵の木の実を食べてしまったお二人のように。

「あら、うちの子見に来たの?」と1回起きて出迎えてくれるドリー。

そしてまたぐーすか寝てしまう。育児って大変ですものね。

今日は全体的にみんな寝てるな、と思いながら外に出たら、すぐそこにコアラ!前回は気づかなかったが、どうやらコアラ舎のガラスケースの中は女子の園、外は男子の園になっているみたい。このイケメンはドリーの旦那でニーナの父、コタロウ。


あ、うん、なるほど、男子ですね。

こっちはピンクのお鼻のピノ氏。堂々とノーパン。
尚、ピノ氏の母エミは5月に鹿児島の平川動物公園にお嫁に行って、代わりに鹿児島からコロンという雄がお婿に来たらしい。
新しいコアラが仲間入りします! - 埼玉県
もう、この楽園でどんどん増えたらいいよ、コアラ。

ニーナを抱えて眠るドリーの丸い尻。

嫁と子供が気になるのか、お腹がすいているだけか、落ち着きなく歩き回るコタロウのスリムな尻。

男が笑うのは年に3回、と言わんばかりに常にコタロウは迫真顔。

一方女子の園では眠気優先。

だらしない。でも気持わかる。そして可愛い。

母子熟睡。

うん、関東でコアラを見るなら埼玉一択だな。なんて素晴らしいコアラの園なんだ、ここは。
ちょっと遠いとは言え、ここにくればコアラに会えると思えば頑張って生きていける気がする。意気揚々と年間パス買って帰ってきた。交通費?知らん!

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傲慢とアイス

元気があればなんでもできる。
…そうですね、猪木さん。

節電とか電気使用量の集中を防ぐため、鉄道会社の混雑緩和対策…。おそらくお国と企業の苦肉の策の一環だと思うけど何年か前から朝活だのエクストリーム出社だのがもてはやされている。

朝活=デキる人、リア充みたいなイメージも着々と定着しつつある。こんな感じでいけばプレミアムフライデーもそのうち定着するのかしら。
かくいう私も年々出勤時間が早くなって、今や6時半の電車で通勤している。6時半を過ぎると駅前の駐輪場がいっぱいになってしまうし、早い時間の通勤に慣れると、もうギリギリの時間帯の満員電車には乗れなくなる。

始業は9時なのに、7時半には会社の最寄り駅についてしまうので、千鳥ヶ淵だの靖国神社だの散歩したりするが、「デキる人の朝活」、というよりは婆ちゃんの早朝散歩といった風情だ。靖国神社戦没者の遺品見て朝から涙ぐんだりして。

そんな早朝散歩がてら、1週間分のおやつを買っていこうとセブンイレブンに立ち寄ったら、何やらくじびきキャンペーンをやっており、当たったんですよ。

井村屋のあずきバーの引換券。
しかもお店の人が真顔で言うのです。「今引き換えますか?」
…いえ、今はいいです。…朝7時半にあずきバーは無理。あれ、すっごく硬いし。

セブンを出て、しみじみと考え込む。
別に朝からアイスを食べたっていい。エクストリーム出社とか流行ってるんだし、アイスを食べるだけの時間がないわけでもない。まして今は夏。早朝アイスを食べるにはうってつけだ。北の丸公園のベンチに座り、朝日を浴びながらアイスを食べるのって素敵だと思う。

ただ、問題は、朝からあの硬いあずきバーに挑む気力が私にない、ということなのだ。


なんということでしょう。
「婆ちゃんの早朝散歩」なんて言いつつ、私は心の中でいやらしく「早起きして朝から活動的、元気ハツラツな私」と自惚れていたんだ。それなのに自分で思うほどには元気じゃなかったのか。あずきバーを敬遠するくらい。なんたる傲慢、なんたる過信。
硬いあずきバーで殴られたような衝撃だ。

あの引換券をもらったのは月曜日。
火曜日も水曜日も朝、出勤がてら自らに問いかけた。
「今日は朝からあずきバー食べれる?」
答えはいつもノーだ。いつか朝からあずきバーを食べれるほどに気力の充実した日が来るのだろうか。それとももう一生そんな日は来ないのか。そんな風に、つい先を憂えて陰鬱になりもする。
あずきバー恐ろしい子…。


今日、帰りに自宅付近のセブンで引き換えてあずきバーをもらってきた。
硬いぞ硬いぞ、と覚悟して食べたらそれほど硬くもなかった。
だからってまた自分を過信して傲慢になって「朝からあずきバー、余裕でしょ」なんてトガったこと言えるもんか。
いろんな意味で大人のアイス。人を大人にするアイス、あずきバー

井村屋 井村屋 BOXあずきバー 65ml×6個×8箱

井村屋 井村屋 BOXあずきバー 65ml×6個×8箱

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2015年のラグビーボール

ある日、何かが僕たちの心を捉える。なんでもいい、些細なことだ。バラの蕾、失くした帽子、子供の頃に気に入っていたセーター、古いジーン・ピットニーのレコード…、もはやどこにも行き場所のないささやかなものたちの羅列だ。二日か三日ばかり、その何かは僕達の心を彷徨い、そしてもとの場所に戻っていく。…暗闇。僕達の心には幾つもの井戸が掘られている。そしてその井戸の上を鳥がよぎる
              村上春樹1973年のピンボール

何気なくスポーツを見ている時、何か些細なことが私の心をとらえて、そのスポーツが好きになったり、その人が好きになったり、なんとなくずっと印象に残ったりする。

友達のかえる姉さんは子供の頃から家族揃ってラグビーファンで、お正月といえばラグビーをみるのが当たり前だったそうだ。
そんなかえる姉さんに大学選手権に誘われたので、これは勉強しておかなければとテレビでラグビーを見始めて、天理贔屓の心持ちで、2012年1月の国立競技場に出かけた。だからあの時天理のキャプテンだった立川くんには思い入れがある。
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その後も毎年、大学ラグビーや、トップリーグを一緒に見に行くようになって、2015年は帝京と筑波の決勝を見に味の素スタジアムへ行った。どうせ帝京が勝つんだろうと思いながら、二人して気持は筑波贔屓で「あの、福岡くんって子がすごいんでしょ?」とか言って。

うっかり帝京側の応援席の方に座ってしまい、帝京の旗やらTシャツやらもらってしまったので、静かに帝京が圧倒的に優勢な試合を見守っていたけれど、福岡くんがボールを持って走った途端にかえる姉さんが興奮して私の太ももをバシバシ叩いた。
「何あの子!!すっごい早いんだけど!チョロチョロ!って鼠みたいに走って!」
確かに、広い味スタのバックスタンドにいる私達の反対側、メインスタンドの影が落ちたグラウンドをものすごいスピードで走る小さな水色のユニフォームは鼠みたいに見えたものだ。
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鼠、なんて失礼な言い方で申し訳ないけれど、でもあれ以来、地下鉄の駅で鼠が走っているのを見かけても「そう言えばあの時の福岡くんの走りときたら」と思い出してしまう。

2015年秋のワールドカップ以降、「すごく混んでるだろうなあ」と尻込みしてなかなか観戦に行けなかったが、先日のリポビタンDチャレンジカップで久々に味スタに行った。

あの時、味スタを走っていたユニフォームと同じ水色の靴なのね、福岡くん。


この猛烈ダッシュの11番。
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カメラのスポーツモード表示ピクトみたいな躍動感だな。



最近まで知らなかったが福岡くん、医学部を目指すほどに頭にいい方なんですってね。
ええー、素敵、こりゃあ女にモテるねえ、とかえる姉さんと笑ったけれど、きっといくつになってもどんなに立派になっても私たちにとっては「味スタの鼠みたいに早い子」なんだろう。

そんな思い出の井戸の上を鳥がよぎる。きっと何度も。

1973年のピンボール (講談社文庫)

1973年のピンボール (講談社文庫)

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