可愛いだけじゃダメかしら

あれは9月の3連休。友人から子猫団子の写真が送られてきた。
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友人は行きつけの動物病院で保護されていた、生まれたての子猫4匹を引き取ることにしたらしい。
オス2匹、メス2匹。
毎日猫の話を聞くうちに、どうしたことでしょう。オス猫2匹を私が引き取ることになった。
猫がいてくれたらいいのに。そう思うことはしょっちゅうあったけれど。
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以前に飼っていた猫は女を作って出て行った。彼にとって私は全然いい飼い主じゃなかった。仕事が忙しくて余裕もなくて、怒ってばかりだった。
また同じことを繰り返すんじゃないかという不安も大きかったし、今から生き物を飼う責任を負えるのか、死に水とれるのか、というのも自信がなかった。

10月、仙台の友人の家まで猫に会いに行った。
…可愛い。…小さい。…不安。…でも可愛い。
大丈夫だよ、なんとかなるよ。賢い子たちだし、という友人の声に励まされながら、11月ついに我が家に猫が2匹やってきた。
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大変可愛い。可愛いけれども。
夜の大疾走に悩まされ、眠りは浅くなり、様々ないたずらに翻弄され、だんだん余裕がなくなってくる。
こちとら、長らく気ままな独り暮らしをしてきたのだ。他の生き物がいる生活には慣れていない。自分のペースを崩されることにとても心が狭くなっている。
12月のある日、羽毛布団におしっこをされ、私の心はポキっと折れた。
「どうしてこんなひどいことするのよ」と猫を前に号泣。猫は不思議なものでも見るかのような顔をしていた。
それから数日、子猫を相手に大人げなく無視したり、そんな自分を自己嫌悪したり。
可愛いだけじゃ暮らせない。人間の男が相手でも猫が相手でも、ほかの生き物と暮らすってことはいろいろとめんどくさい。

お正月休み、ようやく私も猫もお互いのペースをつかんでうまくやれるようになってきた。
まだまだ子供の猫なのに、こっちに合わせてくれて申し訳ない、猫の方が私よりよっぽど柔軟性あって賢いわ。
そうしてしばらくたったら、自分のテリトリーに猫がいること、猫にいたずらされることにも慣れてきて、あれこれ譲歩できるようになってきた。

猫と暮らし始めてもうすぐ3か月。
可愛いだけじゃ一緒に暮らせない。
そう思っていたけど、結局可愛いだけでなんでもよくなってくる。
お風呂場も、台所のテーブルも、もはや猫の手に落ちた。そのうち押し入れもトイレも陥落するだろう。
それでいいのだ。だって、可愛いは正義だもの。