千穐万歳

国技館の入り口正面のショーケースには優勝杯やら内閣総理大臣杯、優勝旗、盾などがずらっと展示されている。

こちら日伊国交樹立150周年記念賞の生ハム原木らしきものと、座れそうなチーズ。手前のミキサーの上部みたいなのはたぶんチェコ国友好杯のクリスタルガラス。

国技館に行くたびに心奪われる大分県椎茸農協賞。どんこ!どんこ!どんこトロフィー!
甘栗詰合せみたいに見えるのは福井県賞の梅干し。それから宮崎県知事賞の牛やら、福島県知事賞の牛やら。
ちなみに宮崎県知事賞は牛1頭分の宮崎牛とフルーツ。福島県知事賞は野菜、果物、福島牛サーロイン10kg、そして米1トン。…1トン!!
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かつてプロ野球JA全農Go・Go賞というのがあって、受賞者は30万円と米一俵がもらえた。球場アナウンスで初めて「米一俵が送られます」と聞いたときには度肝を抜かれたし興奮した。一俵ってどれくらいなの?俵って見たことない!見たい、欲しい!米俵欲しいーーー!
…ちなみに米一俵とは60kgだった。ということは、優勝力士がもらえる1トンの米って…16俵強…。もはや年貢レベルだな…。相撲部屋ならすぐ消費してしまうのかしら…。

いろんな妄想を胸に眺めていたショーケースの中身が取り出される日。千穐楽
ついにその日に国技館に行くことができた。

13時半の段階ではまだ、各賞はすべてケースの中に大人しく鎮座していて、「一体いつ頃取り出されるんだろう」「どこから取り出すんだろう」「取り出す瞬間が見たいけどそれどころじゃないわねえ」とそわそわする。相撲ファンの大先輩、つるちゃん、まるちゃんの2人でも取り出すタイミングは知らないらしい。

きっと我々が「優勝決定戦だー」とわーわー興奮している間に粛々と取り出されたのであろう優勝杯が日馬富士の手に。

続いて優勝旗も。フラッシュが一斉にキラキラ光る。

海上自衛隊の音楽隊の人たちはここから演奏していたのかあ…としみじみする。

内閣総理大臣杯。内閣官房副長官の西村さんて方、まるで選挙演説みたいな口ぶりで表彰状を読み上げるので、きっと不器用な人なんだろう、と思う。見どころはやはりトロフィーが重くてなかなか持ち上がらない所。トロフィーの重さは約40kg。普通の男の人には結構キツいんだろう。力士はもちろん軽々受け取るけれど、それを土俵下で受け取る親方衆が平気で担いでもっていく姿にいつも驚く。結構いい年のおじさん達なのにさすが。

千穐楽の呼出さんたちは忙しそうだ。内閣総理大臣杯を持ち上げる際に偉い人のフォローに入ったり、土俵にあがる人を介助したり。

毎度話題になるピエール・エルメのマカロンを捧げ持ったり。

モンゴル国総理大臣賞は、ラーメンマンみたいな人が支えてるトロフィー。
その後NHK杯やら何やらいろいろあって、ついにアレが見えてくる。

どんこ!!!
どんこトロフィーを支えるは、呼出の大将(ひろまさ)くん。フレッシュなえなりかずきみたいだと、ずっと気になっていた。結構いい声。まだ二十歳。

大将くんがどんこ番!!と、妙に興奮して何枚も写真を撮った。なんど見てもいい。
見ているだけで干し椎茸の香りが漂ってくる。こんなトロフィーにぎっしりつまった干し椎茸なんておいくらくらいするのかしら。宝石みたいなお値段だったりするんじゃないのかしら。優勝賞品の中で一番羨ましい。一番欲しい。二番は米。1トンもいらないけど。一俵ください…。

三賞の授与も終わって、いよいよ秋場所が本当に終わりに近づく。
これは出世力士手打ち式。来場所から番付に載る若い力士がお神酒を振る舞われるんですって。「頑張れよ!」なんて掛け声が飛ぶから、ちょっと高校野球見ているときみたいな気持になる。
それからみんなで三本締め。三本締めに参加するなんて何年ぶりのことだか。



行事さんを胴上げして、土俵の神様がお帰りになるらしい「神送りの儀式」

神様がお帰りになったら土俵を壊す。
ああ、本当に秋場所が終わったんだなあ。
休場力士が多くて波乱の場所だったけど、千穐楽を見に来れて良かった。
いつか千穐楽が見たいっていう夢が叶って良かった。
千穐楽に来れたことも、テレビで放映されない最後の最後の儀式まで見れたことも、どんこトロフィー授与を見れたことも、友達と「また千穐楽来ようね」って約束したことも、全部幸せ。千穐万歳!