名前をつけてやる
テレワーク生活もかれこれ4週間。
通勤のない楽さもあるけど、なんだかやたらに気疲れして週末はアホのように寝こけてしまう。TV会議で同僚にその旨伝えるとみんな「わかる!!」と言っていた。
なんでこんなに疲れるんだろう。不慣れなせいもそりゃああるけど。もともと旧態依然として「印鑑取得!」「原本必須!」「FAX!」が旗印だった我社だ。緊急事態宣言に急ごしらえで始めたテレワークでは、書類はすべてPDFで送られ、それを処理する形になる。
いいんだけど、いいんだけど。
アドビのライセンスは買ってくれてないから、みんな必死で裏道を探し、情報共有をしている。こんな時にはこの手が使えますぜ!これで回避できますぜ!このままなんとかやれますぜ!うへへお主も悪よのう。
どんな時代も人々は法や制度の抜け道を捜すことに必死なのだ。そんなの江戸時代と何も変わってないのだ。まるで決死隊のようにMGR陣は交代出勤し、PDFをとる作業に徹する。当然負荷がかかったプリンターは故障し、救援軍を待つ。しかもそれがまた書類締めの日に起こる。
なんだよこの悲惨な戦況は。南方戦線か…。
しかし、この状況でもう愚痴をいうヒマもないのだ。ただただ泥沼をかき分けて、開墾しながら、掘削しながら進軍するしかないのだ。大体、各部署、各商材ごとのフォルダがあって、PDFはそこに放り込むスキームになっているが、時折どこからか無所属新人が紛れ込む。関所で気づけばいいが、みんな疲れ果てているので関所もスルーだ。
おのれ!曲者!誰か!出会え!と訴えてようやく所属先を探しあて、引き取ってもらう。名もなき野良PDFも多い。
私は訴えたい。ペットに対して責任を負うが如く、PDFに対しても責任を負いたまえ!名前をつけてやりたまえ!!そして自らの家でリードをつけて管理したまえよ!
この数日、幾度野良PDFを見かけては通報してきたことか。我が領内に紛れ込む、よそ者PDFに目を光らせてきたことか。
この私の目の黒いうちは、断じて野良PDFは許さない。
だがそろそろ私の目もつぶれそうだ。
誰よりも立派で誰よりもバカみたいな名前をつけてやってくれ、PDFに。頼む…頼むぜ…。