お変わりなく

テレワークで妙に気疲れするのは顔が見えないから、想像力を駆使しないといけないせいもあるのかな、と最近気がついた。
いつもより少ない情報から、同じだけの判断をしようと思えばそりゃ疲れるよな。
そして新たに発見したいい部分は、久々に電話やskypeなどで連絡をとった遠隔地の人々と「お変わりないですか」とお互いの無事を喜びあえるところ。

若干イラっとするのはteamsが馴れ馴れしく人を下の名前で呼んでくること。
「Hi!まめ。お前のタスク遅れてるぜ!」「ヒカルがお前をチームに招待したぜ!」「トモヤスからメッセージだぜ!」
課長の下の名前とか完全に忘れてるからやめて!!外人の流儀ゴリ押しか!

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うちの会社はteamsメイン

連休が始まった。たとえテレワークでも連休は嬉しい。
朝は神奈川県知事から緊急エリアメールが来て、猫も私も大変慌てたが内容は「GWはがまんのウィークです、外出しないでください」とのこと。
そうですね、知事。拙者了解でござるよ。
知事に忠誠を誓い、ベランダで日向ぼっこをしながらお茶を飲んだり、猫と遊んだりしていたらふと思い出した。
…あれ?これ去年のGWとまったくもって変わらないのでは?

猫が来たため、行くはずだった旅行をキャンセルし、家でのんびりしていた去年のGW。スーパー銭湯には行けないけど、基本的に変わりなし。

コロナ疲れが蔓延する世の中で、みんなが家にいてくれるよう、家での時間を楽しめるよう、いろんな企業がいろんな企画をしてくれていて、先日はホテルニューオータニの門外不出のレシピがネットで話題になっていた。

それで「あらやだ、コンフィ!!コンフィね!!」とすっかりトキめいて砂肝のコンフィを作った。
オイルでコトコト煮込む間、LINEで友人とチャットすると、だいたいみんな「食べることしか楽しみがないのでコロナデブまっしぐら」などと言いながらあれこれ素敵料理を作っている。
そんな話に影響されて「オイルサーディンもいいなあ、塩辛も作りたいなあ、今年はイカはどうなのかしらー」と思いを巡らせる中で、ふと10年前の転職活動時期を思い出した。
4月で仕事をやめたから丁度こんな時期だった。家にいる時間が増えたから、仕事が見つからないから、と私はせっせと保存食作りに励んでいたのだ。

あの頃とやっていることは変わらない。世の中の先行きだって不安だ。
でも仕事があって、それも在宅でできて、お給料を毎月ちゃんともらえて、家賃が払えて、ご飯が食べれて、おまけに猫がいる。あの頃に比べれば今の私は断然不安は少ない。
以前、人から「あなたの幸せはレベルが低い、普通に暮らせて仕事があるなんてそれは最低限だ」と言われたことがあるが、レベルの低いことに幸せを感じられる体質で良かったぜ!

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スーパー銭湯休業のため、自宅の風呂に入っていると猫が覗きに来るこの幸福よ…。

また各種まんがサイトや動画配信サービス会社も、ステイホームのためにあれこれサービスしてくれる。

動物のお医者さんは全巻持ってるからいいんだけど、グリーンウッド!!「ここはグリーン・ウッド」が読めるぞおおおおおお!!と狂喜し、久々に読んではこの漫画に胸トキめかせていた中学生時代を思い出すのでした。
あと、U-nextも頻繁に1ヶ月無料体験を再開してくれるので、私は正月にハマッた琅琊榜のシリーズ2(全50話)を見終わり、そして「やっぱ1に限るな!!」と4周目になる琅琊榜を見ており、まるで正月の再来のように生活リズムを崩したりもしている。

そんなわけで、わりと去年と変わらぬGWです。
世の中いろいろあって、大変な人もたくさんいる中、変わりない日々が過ごせるのは本当にありがたい。
私はもう少しこの状況が伸びても頑張れる。
でも、いつかまた、これまでと変わりなく野球を見に行って、友達とご飯を食べられる日が戻って来たなら更に幸せ。

名前をつけてやる

テレワーク生活もかれこれ4週間。
通勤のない楽さもあるけど、なんだかやたらに気疲れして週末はアホのように寝こけてしまう。TV会議で同僚にその旨伝えるとみんな「わかる!!」と言っていた。
なんでこんなに疲れるんだろう。不慣れなせいもそりゃああるけど。

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行き倒れる猫
もともと旧態依然として「印鑑取得!」「原本必須!」「FAX!」が旗印だった我社だ。緊急事態宣言に急ごしらえで始めたテレワークでは、書類はすべてPDFで送られ、それを処理する形になる。
いいんだけど、いいんだけど。
アドビのライセンスは買ってくれてないから、みんな必死で裏道を探し、情報共有をしている。こんな時にはこの手が使えますぜ!これで回避できますぜ!このままなんとかやれますぜ!うへへお主も悪よのう。
どんな時代も人々は法や制度の抜け道を捜すことに必死なのだ。そんなの江戸時代と何も変わってないのだ。
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江戸深川資料館
まるで決死隊のようにMGR陣は交代出勤し、PDFをとる作業に徹する。当然負荷がかかったプリンターは故障し、救援軍を待つ。しかもそれがまた書類締めの日に起こる。
なんだよこの悲惨な戦況は。南方戦線か…。
しかし、この状況でもう愚痴をいうヒマもないのだ。ただただ泥沼をかき分けて、開墾しながら、掘削しながら進軍するしかないのだ。
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水島は悲しげな瞳で竪琴をかき鳴らすのみ。
大体、各部署、各商材ごとのフォルダがあって、PDFはそこに放り込むスキームになっているが、時折どこからか無所属新人が紛れ込む。関所で気づけばいいが、みんな疲れ果てているので関所もスルーだ。
おのれ!曲者!誰か!出会え!と訴えてようやく所属先を探しあて、引き取ってもらう。名もなき野良PDFも多い。
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私は訴えたい。ペットに対して責任を負うが如く、PDFに対しても責任を負いたまえ!名前をつけてやりたまえ!!そして自らの家でリードをつけて管理したまえよ!
この数日、幾度野良PDFを見かけては通報してきたことか。我が領内に紛れ込む、よそ者PDFに目を光らせてきたことか。
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この私の目の黒いうちは、断じて野良PDFは許さない。
だがそろそろ私の目もつぶれそうだ。
誰よりも立派で誰よりもバカみたいな名前をつけてやってくれ、PDFに。頼む…頼むぜ…。
名前をつけてやる

名前をつけてやる

  • アーティスト:スピッツ
  • 発売日: 2002/10/16
  • メディア: CD

健康の守り人

猫と暮らして1年半ほどになるが、しみじみ思うのは彼らはかなり時間に厳しい生き物だということだ。
どこの誰だ、猫は日がな一日寝ていてお気楽だの、と言っているのは。

朝は5時に起こされる。まずは「目覚ましをとめろ」と騒ぎ立て、二度寝をすると容赦なく踏まれる。「愛しているならメシを出せ」
それでも尚、鋼鉄の意志をもって寝ようとすれば、耳の中に口をつっこみ、直接脳に語りかけてくる。「きこえますか、飼い主よ。我らはご飯を所望しているのです…」
たとえご飯をあげたあとの2度寝であっても、許されるものではない。「コイツ...死んでいるのか?試してみよう」とばかりに髪の毛を食いちぎられるのだ。厳しい。
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ちなみに昼寝には寛容だ。

夜、なんの連絡もなしに帰りが遅くなれば、あちこち漁って盗み食いした後に、ブレーカーを落として強制消灯される。おかげで冷凍庫のモナカはふにゃふにゃだ。
祖母の容態が悪かったときでさえ、母に「今日は泊まれば」と言われたのを「いや、猫に叱られるので」と震えながら帰宅した。もちろんブレーカーは落ちていた。

猫に言葉など通じないだろうと思われるかもしれないが、事前に何時までに帰りますと伝えておくと不思議なことに惨事は避けられるのだ。予定時刻をすぎると父親の如く厳しく詰め寄られるが。
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一人暮らしを初めて二十余年。こんなにも帰宅時刻に気を遣うことになろうとは。

風呂上がりは猫と遊ぶ時間であるということも熟知しているので、洗面所で身支度をする時には振り向けば猫がいて無言の圧をかけてくる。猫の権利を主張しているのだ。「我々猫は、1日に1度エキサイティングなおもちゃを出してもらう権利があるはずだ」と。ぼやぼやしてはいられないのだ。
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このコロナ騒動のせいで、4/6からは私も在宅勤務になった。当初は猫に邪魔をされるのではないか、生活のリズムが崩れるのではないかと危惧していたがおかげさまでそのようなことはない。
猫には猫の1日の過ごし方があるのだ。私が仕事をしている時間、彼らはいびきをかき、寝言を言いながら爆睡している。
時間に厳しいので、残業になると容赦なくキレる。
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朝も普通に叩き起こされるし、「お!今日は天気いいな!ベランダに出せ!朝日をあびろ!」と主張もしてくる。
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仕事中に喫煙ならぬ喫猫しようと近づくと、明らかな邪魔者扱いだ。
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勤務時間だろう、持ち場に戻れ、と言わんばかりの目つきだ。
私が一日家にいることで、おそらく彼らの一日のスケジュールも乱されているのであろう。
それでも「良いではないか!良いではないか!」とちょっかいを出すと都知事の如く密を主張してくる。
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彼は密に非常に厳しく、30センチ以上のソーシャルディスタンスを求めてくる。猫同士ではみっしり密密のくせに。たまに甘えん坊で密してくるくせに。
でも、そんな彼らのおかげで私の健康は保たれているのだ。
最近では猫のうんこが臭うたびに「お!まだイケるな。まだ大丈夫」と少し安心してさえいる。
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自粛引きこもり生活で孤独を感じたり精神を病む人もいるらしいが、うちには最強のメンターがいるので問題ない。
ありがとう、健康の守り人。…人じゃなくて猫だけども。

アサリベイベ

タカラガイいいよな。

ところで中国語の「宝贝」
これは「バオベイ」と読む。赤ちゃんや恋人のことを表す言葉だ。つまりベイビーに漢字があてられたものだぜ、ベイベ。
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昔、会社で宍道湖しじみを頂いたことがある。大きくて立派だった。しじみってこんなにデカいのか!と同僚たちと驚いた。
そして会社の人はご丁寧にしじみを紙コップに入れてみんなに持たせてくれたのである。ありがたいことだが、当時の私はまだ若く、しじみを持て余して実家に持っていった。
母はぷりぷりしながら言った。
「アンタはそうやって猫とかしじみとか世話の焼けるものばかり押し付けてさ!」

しじみの世話はしなくて良い…と思ったものだが、今になってあの時の母の言葉を思い出すことがたまにある。
それはアサリの砂抜きをするとき。

まあ、恥ずかしながら、アサリなんて食材に手を出せるようになったのはここ数年のことですよ。それまでは頭の片隅にもなかった。家で食べるつもりは毛頭なかった。
最初に買った時はまず砂抜きの方法を調べ、「海水と同じ濃度の塩分というが海とはこんなにしょっぱいのか!」と驚きもしたし、「アサリとは買ってきてすぐに食べられる食材ではないのか!」ということに驚きもした。
ネットで調べると様々な砂抜き方法が出てくる。やれお湯につけろ、とかどうとか。でも私はいちばんオーソドックスな方法をとっている。

海水と同じ濃度の塩水に一晩つける。
潮吹きをすることがあるらしいので蓋もする。暗いところを好むらしいので新聞紙をかぶせたりと甲斐甲斐しく世話をする。そして時々チラと様子を見る。
「どうだい、アサリたち。リラックスして砂を吐いているかい?」
のびのびしていると少し安心するし、蓋をあけて光が入ったことで、アサリがびくっと縮こまれば「お、すまんな」と慌てて蓋をしめたりする。

そうして思うのだ。「アサリって結構世話の焼けるヤツだな」
そしてそれがまた密かに嬉しくもあるのだ。アサリの世話が。

世界中がコロナコロナと大騒ぎの中、アメリカではひよこが爆買いされているらしい。自給自足と癒やしが目的だそうだ。
確かに家に籠もらなければ行けない今、ペットは非常に心強い味方だ。
だが、ひよこはすぐに大きくなって凶暴でけたたましくなるかもしれないし鳥インフルの恐れもあるじゃないか。
私はアメリカ人に心の底からアサリを薦めたい。
迷えるアメリカ人たちよ、今すぐアサリを買うのです。
そして一晩なり二晩なり砂抜きをしてごらん。
アサリを伸び伸びとリラックスさせてやるのです。今最も旬の食材だぜ?
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ベイビーたち、どうだい?リラックスできたかい?

そう優しく問いかけた後、君は一転して鬼になることが可能なのだ。半分は煮立て、半分は冷凍だ。クラムチャウダーもいいだろう。酒蒸し、スンドゥブチゲも意のままだ。
君が世話をして砂を吐かせたアサリたちは鍋の中できっといい出汁を出してくれるはずだ。
アサリたちは「おのれ、謀ったな!」と思っているだろうか。
アサリを煮ながら悪代官ごっこをすることもまた可能であろう。

もしあなたが今、自粛生活に疲れて果てているのなら、私はアサリベイベーの世話を強く薦める次第です。

天が下のすべての事

天が下のすべての事には季節があり、すべてのわざには時がある。
生きるに時があり、死ぬるに時があり、植えるに時があり、植えたものを抜くに時があり
殺すに時があり、いやすに時があり、壊すに時があり、建てるに時があり
泣くに時があり、笑うに時があり、悲しむに時があり、踊るに時があり
石を投げるに時があり、石を集めるに時があり、抱くに時があり、抱くことをやめるに時があり
捜すに時があり、失うに時があり、保つに時があり、捨てるに時があり
裂くに時があり、繕うに時があり、黙るに時があり、語るに時があり
黙るに時があり、語るに時があり、愛するに時があり、憎むに時があり
戦うに時があり、和らぐに時がある
           「伝導の書」第三章1~8節

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すべてのわざには時があり、時が満ちればいろんなことがいっぺんに起こるもので、この年度末たるや繁忙期に加えて、コロナに次ぐコロナ、尚コロナ、弟3号に子供生まれる、祖母が死にそう、等々盛りだくさんだった。

天が下、すべての事が同時に湧いて出始める春。
もう何度目になるか、祖母がいよいよ危ないと言われたのは三連休直前で、会社から病院に向かったが、穏やかに寝ていた。
翌日3連休の初日はよく晴れた麗らかな日で、弟と病院に行こうと車に乗り込んだところ、高速は観光客で大渋滞していた。
「渋滞ハマってる間にばあちゃん死ぬんじゃねえの」と悪態をついていた弟は、ようやく病院に近づくと明るく言う。
「こんなこと言ったら悪いんだけどさ、せっかくみんな揃ってるし、ばあちゃんも今日旅立つのがいいんじゃないかな」

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春のにおいがする
そうね。同じことを思っていたわ。
こんなことを思えるのは祖母が91まで長生きして、しかも呆けたりもせず最後まで穏やかでいてくれたおかげだ。
そんな訳で両親も同じ思いで、「本日もお日柄も良く…、って感じだし、今日でいいんじゃないかしらね」なんて話をした。
が、なごり雪降りしきる本日もばあちゃんはまだ生きている。
まだその時ではないのだろう。
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ワオテナガザルの親子
子供が生まれたばかりの弟3号、よくこんな大変な時にばあちゃんの所に来れたな、と思ったが、コロナウイルスの影響で産院への立ち入りを禁じられているらしい。そんな訳で出産にも立ち会えず、生まれたばかりのわが子に会うことも出来ず、出生証明書も受け取れず、という状態とのこと。
一応出産のときには病院の外までは駆けつけたらしい。だが中には入れてもらえなかったのだそうだ。
そして立ち会えない代わりに看護師さんが出産の動画を撮ってくれたらしい。今どき、そこまでしてくれるのだな。
ばあちゃんの寝顔を見守るだけのヒマな病室で、出産動画を見るか、と聞かれたけど、いやいやいやいや、帝王切開とか無理です、ご遠慮いたしますと丁重にお断り。
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コアラの親子。クイン&シャイン
それでもどうしてもばあちゃんにひ孫を見せたい弟は、ばあちゃんの目を無理やり開けようとしたり、耳元で動画を流し始めたりと強硬手段に出る。
動画から流れる赤子の泣き声はまるで子猫みたいで、感想を述べると、弟も「そうなんだよ!俺も病院の外でさ、あれ、どこかで猫が鳴いてるなと思ったら子供産まれてたわ、ははは」と笑う。
そう…そういうもんなんだね…。なんかこうドラマみたいな感じとはちがうわけね、なるほどね。
両親は「ホント命のリレーよねえ」としみじみしている。
生まれるに時があり、死ぬるに時があるとは言うが、うまく出来てるものだな。まるでゆく年くる年みたいだ。
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世話の焼けた赤子時代。
あーあ、せっかくなんだから今日がいいと思ったんだけどなあ、と弟は最後まで祖母の旅立ちの日を譲らない。
「俺、もう来週からは子供退院してくるから無理だからな」「まあ最後にこうやって集まったからもうこの後立ち会えなくてもしょうがないわよ」などと言いながらお茶を飲んで家族は解散。

その後の1週間はコロナコロナコロナで日が過ぎた。
何もかも、いったいこれからどうなることやら。

だがしかし、すべての事に時があり、なるようにしかならないのだから黙って成すべきことをするしかないさ。
この天が下、生きてから死ぬまでの間。
明日、会社に行くか行かないのかもわからぬ状態ではあるが、いずれ時が来るであろう。

こんなに大きくなりました。

これまで、犬や猫は生後1年で20歳だと信じてきたのだが、猫を飼い始めて以来いろんな人から「1年で17歳、1年半でハタチだよ」と言われ、調べてみたら、どうやら本当にそうらしい。
そんなわけで我が家のにゃんずも間もなくハタチ。
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これが

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こうなる。
ポーと来たらまた随分真っ黒い顔になったもんだ。真っ黒すぎて写真を撮るのに難儀する。
我が家に来た生後2ヶ月の頃はまだやっと1kgになったばかりなのに、今や6kg。
ケツもデカい。ルーズスキンもタプタプだ。
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襖の開け方もシンク下の開き戸の開け方も覚えた。引き出しだろうが、引き戸だろうが音も立てずに開けられる。
猫は犬に比べて頭が悪いなんて言ったのはどこのどいつだろうか。
ブルーレイレコーダーからディスクまで取り出せる生き物のどこが頭が悪いと言うのだ。
猫が一つ賢くなるたびに、私は震えているのだ。
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確固たる意志を持って、シンク下に侵入しちゅーるを盗み食いするし、留守番の折には餅を食べウィダーインゼリーを飲むという小学生男子のようなスキルもある。
この家の治安は俺にかかっていると言わんばかりに、宅配便のドアチャイムには威嚇の声をあげ、窓からの周辺警備も怠らない。

猫が来る前に買っておいた爪とぎベッド。33センチ経のレギュラーサイズ。
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2018年11月
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二匹でまだ余裕ある2019年1月
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暑くなってきたし独り寝を覚えた2019年6月
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寒い夜だから無理しても二人でいたい2020年2月
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仕方ないので買った40センチ経のビッグサイズにみっちり収まる2020年2月

よくぞここまでご立派に賢く大きくなられたが、甘える術も日に日に成長しているので、まだまだこども。
…という話を先日友人ともしたのだけれど、もしかしたら、そう思いたいだけなのかもしれない。
ホントは外でも立派に一人で生きていけるのかもしれないし、1日2日留守にしたって平気なのかもしれない。
私が猫離れできていないだけで。
卒業シーズンの3月、ハタチの節目にそんなことも思うけど、まあ愛玩動物だからいいよな、いいよね?

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知らんがな

この世界の片隅に

最近見た映画はパラサイトとスウィング・キッズ。
どっちも結構重い。だんだん映画が「他人事」ではなくなってきているような気がする。ただただ口をあけて、楽しく夢物語を見ていられる時代じゃなくなっているような気がする。
格差社会も貧乏も不運も、戦争時代の不自由も理不尽も苦しみも、すべて明日は我が身。
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そもそも映画館に行くことすら若干ためらわれるような今日この頃。上映中止になった劇場もあるらしい。払い戻しも受け付けてくれるらしい。
なんだか世の中が物騒でざわざわしている。昨日までの生活ががらっと変わるようなことが起きている。

会社だってそうだ。
「オリンピックのために時差通勤やテレワークを考えなければいけないとは言え、現状ではとても環境が整っていません。テレワークは多分無理なので、4月からなんとか時差通勤だけ実験してみようと思います。まずはアンケートをお願いします」と先週言われたばかりだが、コロナで大騒ぎになった途端、テレワークと時差通勤が急遽導入されることになった。
なーんだ、できるのかよ…!いざとなればできたのかよ…!とびっくり。

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若干ブラック臭もあるけれど。「やればできる」
世間がすごいスピードで非常時体制に入っていく中、使い捨てマスクを洗いながら思い出すのは「この世界の片隅に」だ。
この世界の片隅に

この世界の片隅に

  • 発売日: 2017/04/26
  • メディア: Prime Video

最近公開された(さらにいくつもの)の方は見ていないが、以前の「この世界の片隅に」の公開中は「戦争中でも工夫しながら普通に生きようとする姿がけなげ」「当たり前の日常が愛おしい」などとよく言われていた。
でも今、私達がいる状況って正にアレなんじゃないのかな、と思う。

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マスクも闇市で買わなきゃいけないし
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大本営発表のことはちょっと疑ってる。
トイレットペーパーが売り切れているのは地方だけの話かと思っていたら、スーパーでものの見事にトイレットペーパーがなくて笑ってしまった。最近では米も買い占められているらしい。ちょっと前まで米が売れない世の中だったのにな。
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不要不急の外出も控えるようにとのこと。
見に行く予定だったラグビーは海外開催となり、中国語教室は休みになった。プロ野球オープン戦や大相撲春場所も無観客開催になり、友達の家でテレビで相撲見る約束をしたけれど、出歩いていいのかしら。3月のハイキングには行っていいのかしら。
不要不急の外出だからダメかしら。
もしもそれで私がコロナにかかったら「ハイキングでウイルスをばらまいた非常識な人」と世間からは非国民扱いされるのだろう。
ちょっとヒステリックになった世の中は、国粋主義のように中国を叩き、イギリスを叩き、政府を弱腰と叩き始める。
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玉音放送よりハッキリ聞こえたのにも関わらず、あまり理解できなかった総理大臣のお話。
ああ、なんだか本当に歴史の再現ドラマを見ているようだ。
当たり前の日常がどんどん非日常に変わっていく。

とは言え、それでもなんでも普通に生きていくより他ないですよね。
流言飛語に惑わされたり、大本営発表に翻弄されたり、不安だらけの世の中でも、なるべく普通に、粛々と、できる限り今まで通り地道に。
だってそれ以外どうしようもない。

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当たり前のことをして、普通に。
映画の世界がどんどん他人事じゃなくなっていくこの世界の片隅で、普通に。
感染には気をつけないと、うちのにゃんこ兄弟を「火垂るの墓」にするわけにはいかない。
でも明日も普通に、いつもどおりに、まともに。

いつかそんな生活を他人から「けなげだ」と評されるんだろうか。