健康の守り人

猫と暮らして1年半ほどになるが、しみじみ思うのは彼らはかなり時間に厳しい生き物だということだ。
どこの誰だ、猫は日がな一日寝ていてお気楽だの、と言っているのは。

朝は5時に起こされる。まずは「目覚ましをとめろ」と騒ぎ立て、二度寝をすると容赦なく踏まれる。「愛しているならメシを出せ」
それでも尚、鋼鉄の意志をもって寝ようとすれば、耳の中に口をつっこみ、直接脳に語りかけてくる。「きこえますか、飼い主よ。我らはご飯を所望しているのです…」
たとえご飯をあげたあとの2度寝であっても、許されるものではない。「コイツ...死んでいるのか?試してみよう」とばかりに髪の毛を食いちぎられるのだ。厳しい。
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ちなみに昼寝には寛容だ。

夜、なんの連絡もなしに帰りが遅くなれば、あちこち漁って盗み食いした後に、ブレーカーを落として強制消灯される。おかげで冷凍庫のモナカはふにゃふにゃだ。
祖母の容態が悪かったときでさえ、母に「今日は泊まれば」と言われたのを「いや、猫に叱られるので」と震えながら帰宅した。もちろんブレーカーは落ちていた。

猫に言葉など通じないだろうと思われるかもしれないが、事前に何時までに帰りますと伝えておくと不思議なことに惨事は避けられるのだ。予定時刻をすぎると父親の如く厳しく詰め寄られるが。
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一人暮らしを初めて二十余年。こんなにも帰宅時刻に気を遣うことになろうとは。

風呂上がりは猫と遊ぶ時間であるということも熟知しているので、洗面所で身支度をする時には振り向けば猫がいて無言の圧をかけてくる。猫の権利を主張しているのだ。「我々猫は、1日に1度エキサイティングなおもちゃを出してもらう権利があるはずだ」と。ぼやぼやしてはいられないのだ。
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このコロナ騒動のせいで、4/6からは私も在宅勤務になった。当初は猫に邪魔をされるのではないか、生活のリズムが崩れるのではないかと危惧していたがおかげさまでそのようなことはない。
猫には猫の1日の過ごし方があるのだ。私が仕事をしている時間、彼らはいびきをかき、寝言を言いながら爆睡している。
時間に厳しいので、残業になると容赦なくキレる。
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朝も普通に叩き起こされるし、「お!今日は天気いいな!ベランダに出せ!朝日をあびろ!」と主張もしてくる。
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仕事中に喫煙ならぬ喫猫しようと近づくと、明らかな邪魔者扱いだ。
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勤務時間だろう、持ち場に戻れ、と言わんばかりの目つきだ。
私が一日家にいることで、おそらく彼らの一日のスケジュールも乱されているのであろう。
それでも「良いではないか!良いではないか!」とちょっかいを出すと都知事の如く密を主張してくる。
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彼は密に非常に厳しく、30センチ以上のソーシャルディスタンスを求めてくる。猫同士ではみっしり密密のくせに。たまに甘えん坊で密してくるくせに。
でも、そんな彼らのおかげで私の健康は保たれているのだ。
最近では猫のうんこが臭うたびに「お!まだイケるな。まだ大丈夫」と少し安心してさえいる。
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自粛引きこもり生活で孤独を感じたり精神を病む人もいるらしいが、うちには最強のメンターがいるので問題ない。
ありがとう、健康の守り人。…人じゃなくて猫だけども。