ネーミング・オブ・キャッツ

スマホの写真フォルダが勝手にアルバムを作ってくれるのはいいとして、そのネーミングセンスはどうなのか。

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ネコだにゃん
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圧倒的な語彙力のなさ。

猫に名前をつけるのは とても難しいことなのです
信じられないかもしれないけれど 猫には3つの名前がある
(中略)
猫は独特な名前を求めている
もっと威厳のある名前を
誇り高くいられるために
顔をあげて生きるために
               ミュージカル「キャッツ」より

アルバムに名前をつけるのは、猫に名前をつけるよりもよっぽど簡単だと思うが、ナメすぎじゃないか。「こんなにかわいい!」「かわいい!」て。


さてさて、映画版キャッツを見てきた。
あの海外で酷評続きのアレだ。テイラー・スウィフトなんか出ちゃってるやつだ。

舞台版は何度も見たことがあったので、映画化されるという話を聞いた時点で見に行こうと思っていたが、あまりの酷評に躊躇していた。
しかし父が「キャッツ絶対見たいんだ、一緒に行こうよ」と無邪気に言うではないか。
「海外でものすごく評判悪いらしいよ」とは伝えたが「そんなはずないよ!!」と父は純粋な心でキャッツを信じていた。

そんなわけで、まあどんなもんか見てみようという好奇心もあり、公開初日に行ってきた。
そして「ああ、舞台って本当によく計算されてできていたんだなあ」としみじみ感心した。

ともかくカメラワークが悪い。
海外のレビューでは「猫の見た目が気持ち悪い」とか「ゴキブリが気持ち悪い」とか言われていたが、何が一番気持ち悪いかってあのぐるぐる回転するカメラワークだ。しかもやたら揺れるのだ。その辺のYoutuberが撮ったのかとさえ思う。
CGで背景もあれこれ作り込んでいるので、画面の情報量が多すぎて目がまわる。


登場人物が多い作品というのは背景がシンプルな方がいいし、猫が目まぐるしく動くところは視点を固定して、自分の好きな猫を探すほうがいい。
でも映画だとカメラを固定するなんてできないもんな。
いろいろ説明も必要だし、わかりやすく単純化もしなければいけないんだろう。
あれも苦肉の策なのだろうか、と同情もするけど、グロールタイガーの扱いの酷さに憤りもする。

今回字幕版で見たが日本語訳もまあまあひどい。特にオールドデュトロノミーが初登場するところ。なんかもうちょっとあるんじゃ…。
オールドデュトロノミーは舞台版ではヒゲぼーぼーの麻原彰晃みたいなおじいさんだったのに、映画版ではジュディ・デンチが演じる利発なおばあさんになっていた。
仙人的存在だと思っていたのに、突然「腹に一物ある策士」みたいな存在になったオールドデュトロノミー。

こちら舞台版

舞台版に比べて猫の数は増えていたが、名前を与えられている猫はわずかのようだった。シラバブはヴィクトリアに吸収合併されていたし、グリドルボーンも出てこない。
ヴィクトリアが主人公のような扱いをされていて、カメラがやたらとヴィクトリアに寄るので、最後の方は「ヴィクトリアもういいよ。お前の物語じゃないんだよ」とちょっと辟易してしまう。
可愛い女優さんなんだけど、常に同じ顔なんだよな…。
映画のために加えられたテイラー・スウィフトの歌もイマイチだった。

帰り際そんな話を父と延々していたところ、父が「せっかく見たんだからなにかいいところも探そうよ!」と言う。
なんてピュアハートなんだ、父よ。
うーん、うーん、映画版キャッツのいいところ…うーん…なかなか出てこない。あの映画のいいところってどこだ。あの映画を一体なんと名付ければいいんだよ。
猫に名前をつけるより、そっちの方が難しい。

昨日一番トキめいたのは予告編で見た「トップガン マーヴェリック」


夏に公開予定らしい。
音楽が懐かしい、トム・クルーズがカッコいい、アメリカが元気だったあの頃!
でもまた公開前になって海外から酷評レビューが出ちゃったりするのかしらね。
それでもきっと父はまたトップガンを信じるんだろう。キャッツを信じたように。
見習いたい、あのピュアハート。