イノセント・ワールド

ついに、ついに終わってしまったラグビーワールドカップ
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11/1、3位決定戦の日は有給をとった。臨港パークのファンゾーンへ向かう途中、ランドマークプラザで「決勝まであと1日」のサインボードを見て、しみじみしてしまい写真を撮った。ラグビーボールをポンポン放り投げながら歩く、ウェールズファンのお兄さんたちも「あと1日だぜ?」と言って写真を撮っていた。

決勝の日は気持ちよく晴れた。
いつもは市営地下鉄の新横浜駅から一番スタジアムに近い出口を出てしまっていたのだけれど、JR新横浜駅が決勝に向けて気合を入れているというので、この日は新幹線口の方へ。
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新幹線口は既に大声で歌う大男たちに占拠されていた。
イングランドの白いジャージの方がちょっと多い。
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日本人のハチマキ率はほぼゼロなのに、外国人たちは「それはレプリカジャージの一環なの?」と思うくらいみんなハチマキを締めていた。「日本」だの「必勝」だの「闘魂」だの「合格」だの。
スタジアムへ向かう道筋のパブは全て外国人で埋まっていて中華料理屋まで乗っ取られている。どの店先でもビール片手のイングランド人たちがSwing Low, Sweet Chariotを歌っている。
中にはコンビニで瓶ビールを仕入れてくるツワモノもいた。アサヒ中瓶をさ、そんな普通に瓶ハイネケンみたいに4本も抱えて持ってきて、直で飲む?まあ500ccだからロング缶みたいなものかもしれないけどさ…。
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この派手なスーツ軍団はフランス人で、帰り道は大声でラ・マルセイエーズを歌いながら歩いていた。
今日で最後だから、スタジアム前のいろんなイベントも見て回って、フェイスペイントをしてもらったり読売新聞の号外フレームで写真をとってもらったり。
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このお祭りも今日で終わっちゃうんだね。夏休みが終わるときみたいに切ないよ、とかえる姉さんが言う。本当に同じ気持ち。
きっとみんな同じような気持ちなんだろう。こうやって、眼下の人の波をずっと見つめている人たちがたくさんいた。
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夕焼けが綺麗だからまた切なくなるし、三日月が綺麗でも切なくなる。

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FINALの華やかな入場ゲートにだって。

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ハーフタイムのゲストはリーチ・マイケル、ダン・カーター、リッチー・マコウ。

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リッチー・マコウは最後にリーチの運転するランドローバーでウェブエリスカップも運んできた。

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南アフリカ、本当に優勝おめでとう。
前半のイングランドの激しい攻撃をギリギリのところで防ぎきったディフェンス力、すごかった。コルビのトライ、かっこよかった。スクラムがすごく強くて「え、日本て相当頑張ってたんじゃない!?」なんて再確認した。

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帰ったら本当に終わっちゃうから、帰りたくないなあ、と思いながらいつまでもグラウンドを見つめ続けていた。

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そしてまた、人の波を見下ろしながら、かえる姉さんと「みんな帰らないでずっと日本にいて、まだ試合やってくれたらいいのにね」なんて話をする。
今日村上晃一さんのコラムを読んだのだけれど、冒頭の「よく泣いた。よく笑った。嬉しくてガッツポーズした。思わず頭を抱えた。みんなが素直に感情を表現したラグビーワールドカップ2019だった。」という文章に「本当にそうだったなあ」としみじみ共感した。

素直だったし、イノセントだった。どうしてあんなに無邪気に楽しかったんだろうか、となんだか不思議な気持ちになる。
日本が負けた試合の後だって、全然がっかりなんかしなかった。
「日本はよく頑張ってたね」「南アフリカすごかったね」「来週はニュージーランドだね」とワクワクしながら帰った。ただただ楽しかった。
普段なら斜に構えたりもするけど。

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あれはどうしてだったんだろう。一生に一度だから?
野球を見るときとも相撲を見るときともちょっと違う。箱根駅伝高校野球に胸を打たれるような、どこか悲壮感のある感動ともまた違う。
夢みたいだったし、ただ子供みたいに何もかも楽しかった。

終わる前に心配していた、がらんとした気持ちじゃなくて、今はなんだか過ぎ去った青春を惜しむような気持ちでいる。
ただ、ひとつわかったのは「大人の階段を登ってもまた降りることができて、そして無邪気な世界を楽しむこともできる」っていうこと。

またどこかで会えるといいな イノセント・ワールド

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