曲がり角ごとの驚きⅨ 青木の仕業

埼玉で過ごした高校時代、後輩がほりのぶゆきにハマっていて「先輩も読んで下さいよ」と薦めてくれた。

かなりお下劣でバカバカしいのだけれど、二人でゲラゲラ笑い転げた。
そんな青春の1ページに鮮烈に刻まれたのはこれ。
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正直これを読むまで青木昆陽を知らなかったが、これ以降、私の中で江戸城の庭は一面のサツマイモ畑であったとの認識になってしまった。
「旦那がうちの庭を勝手に家庭菜園にした」という職場の主婦の嘆きを聞いても、密かに「青木昆陽かよ」と思ってしまうし、母が焼き芋にハマった時にも「青木の魔の手が我が家にまで」と、あの漫画を思い出した。
目黒不動で偶然、青木昆陽の墓を見つけたときには「実在してたのか!(当たり前だけど)」とトキめいたものだ。
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さて、窓の外に西武園遊園地の観覧車が見える部室で、後輩と笑い転げていたあの頃、川越はまだ今みたいに小江戸前面推しの観光都市ではなかった。それがいつ頃からか急に「小江戸」として町の整備や観光誘致をし始めた。

ええー?川越が観光地なの?と、どうにもピンと来ないままに神奈川に戻ったが、今となっては東京から気軽に行ける観光地としてかなり名を馳せているらしく、同じく「川越なんてわざわざ行くか?」と笑っていた高校の同級生達も、チラホラと「川越なにげに面白いよ」と言い出すようになってきた。

そんな折、はてなのお友達で川越出身のいもこさん(id:xx_green-heuchera_xx)にお会いするチャンスがあったので、川越を案内してもらうことに。

蔵の町はスポーツ用品店まで蔵造り。まさかこんなガラス戸の向こうで微笑む大谷くんを見るとは。

とは言え、私だって学生時代は埼玉で過ごしたのだから、川越がさつまいもで有名だということくらいは知っていた。

知ってはいたけど、まさかここまで芋づくしだとは思わなかった。

そびえ立つさつまいものダンボール。

アイディア麩菓子。

種子屋さんもサツマイモ栽培を推奨。

「いも恋」という芋愛に溢れた店の前では部活帰りらしい大量の学生達が何らかの芋スウィーツを召し上がっていた。

いも茶。茶もあるのか。芋から出した茶なのか、葉を使用しているのか。

おしゃれな芋けんぴ屋ののれん。
兎にも角にもさつまいも。見てるだけでお腹がいっぱいになるほどだ。
さつま芋饅頭、さつまいもソフトクリーム、芋ようかん、芋チップス、スイートポテト…。


さらには、芋そうめん、いもうどん、芋釜めしの店もあった。
小江戸川越、ここはさつまいものテーマパークなの?
怒涛のさつまいも波状攻撃に圧倒されながら入った川越市立博物館でもさつまいもについて教えてくれる。

出た、青木昆陽
さっきからずっとお前のこと、考えてたぜ。
芋そうめん、いもうどん、芋釜めしなんて無茶しやがって…。お前の仕業だな、青木。

氷川神社の入り口で夏らしく回る風車の紫色さえさつまいもの色に見えてくる。これもきっと青木の仕業。
尚、お会いしたいもこさんのハンドルネームも川越の名産が芋だから、とのことでした。なんという地元愛。そして芋愛。
その愛もきっと青木の仕業。