君拾帖

■くんしゅうちょう■  すきなことだけてきとうに

I NEED YOU

先日、国技館でむしゃむしゃ焼き鳥を食べながら友人に「こないだ、突然コアラが見たくなっちゃってさ、一日中コアラのこと考えてた」とそっと打ち明けた。

友人はきっと「何を言っているのだ、こいつは」と呆気にとられたことだろう。しかし私もまた友人の返答に呆気にとられていた。
「まめって意外に動物とか見るの好きだね

何を言っているのだ、こいつは。うっかり真顔になっちまうぜ。
好き、とか嫌いとか。
「コアラ可愛い」って言ってる私可愛い、とか。
癒される~♡とか。
そんな生ぬるい、甘ったるいことではなく今の私には切実にコアラが必要なんだよ!コアラなくしてこの乱世を生きていけないんだ!会いたくて会いたくて震えてるんだ!!

職務質問にあったっておかしくないほど切羽詰った表情で、土曜日は20年ぶりの多摩動物園。入園するなり一直線にコアラ館を目指す。

幼稚園の親子レクみたいな集団がたくさんいるのを追い越して兎にも角にもコアラ館へ。
子どもたちにコアラを譲ってやる余裕なんかない、この目でコアラを見るまでは。
コアラはどこだ、コアラはいねがー!
なまはげ、もしくは「杉野は何処、杉野は居ずや!」と叫ぶ軍神広瀬中佐の如く、私はコアラを探し求めているのだ。

途中目につくのはコアラの描かれたマンホールの蓋。否が応でも期待が高まる。

これがコアラ館。かつてはずらっと行列ができていた。小学校の遠足で多摩動物園に来たが、混雑していたことばかり記憶に残っていて、コアラを見たんだかどうだか覚えていない。

そうしてやっと、微動だにせずに眠るコアラに出会えた。
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燃えつきたジョーみたいに眠る。

オランウータンやアジアゾウをぐるっと眺めてもどってきても、お変わりなし。

後から祖父と少年が入ってきた。
「なんだよ、起きろよ」とぼやく祖父に少年は「コアラは20時間寝るんだから仕方ないよ!」とコアラ知識を披露していた。負けじと祖父も「コアラのエサ代が動物園で一番高いんだぞ」とコアラ知識を披露。
…そうだよな。20時間寝ていて、4時間しか起きていないんだもんな。


コアラのこんな表情を見れるのは飼育員さんの特権なのだろう。
それにしてもかつてあれほど栄華を誇った多摩動物園のコアラ館はこんなにも寂しい場所になってしまったのか。
調べていたからコアラが1頭しかいないのは知っていた。知っていたけど寂しいものだな。
そのうち、多摩動物園にコアラはいなくなってしまうのではないか。土産物屋でもコアラグッズは非常に少なく、「多摩動物園ではコアラはもうオワコンなんだな」と寂しくなる。


が、取り急ぎこれだけは買って来た。乱世を生き抜くために。
そして月曜日、いそいそと会社の机の前にコアラの写真を貼った。
同僚はきっと「何してんだこいつ」と思っていることだろう。
でもこれがないと私、月末のバタバタを乗り切れない。誰に笑われようとも、今、コアラなしでは生きられない。

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