付加価値と専門性

昨日こんなニュースを見かけた。

カレー汚れに特化した洗濯機をインドで販売ですって。
カレーでインドっていう、この安心感。鉄板感。
しかし、インド人は今更「こういうの待ってたー!」とか思うんだろうか。むしろカレーの汚れには慣れっこなんじゃないのか。

それにしても昨今の家電の迷走ぶりというか、奇妙な付加価値には驚かされる。
「洗えるスマホ」とか「喋る家電」とか「自分で立ち上がるバイク」とか。
そこまで余計な機能をつけないと物が売れない時代ってことなのか。

余計な機能に溢れた世の中では、むしろ「それしかできない」専用機の方が新鮮に映るような気がする。

これは伊豆修善寺の椎茸に特化した店。重厚な専門性。

こちらは閖上漁港で見かけたホッケ専用の冷凍ケース。
こんなにも無造作に裸のままのホッケ…。NAKEDホッケ。こんなの初めて…。

そして江戸東京博物館に展示されていた、東芝の戦後の大発明、電気ゆで卵器。
清々しいほどゆで卵しかできないこのフォルム。こたつみたいなコード。
どこのどいつがそんなにもゆで卵を欲しているんだよ…と展示の前でしばし立ち尽くしたが、世の中にはゆで卵器の需要はそれなりにあるらしい。

昭和30年代に登場したゆで玉子器、現在は象印からこんな物が販売されている。

象印 エッグ DODODO マイコン温泉たまご器 EG-HA06-WB ホワイト

象印 エッグ DODODO マイコン温泉たまご器 EG-HA06-WB ホワイト

温泉卵、固茹で卵、半熟卵が作れるという付加価値はついているが、卵に特化していることに変わりはない。
SOLEIL(ソレイユ) 電気たまごゆで器 SL-25

SOLEIL(ソレイユ) 電気たまごゆで器 SL-25

尚、昭和の面影を未だ色濃く残すこのような商品も販売されているようだ。ゆで卵専用機。
購入者のレビューを読むにつけ「ゆで卵にはそんなにも需要があったのか」「ゆで卵にそこまでのこだわりと情熱を…!」と驚愕する。
その驚きとインパクトは喋る家電、歌う炊飯器、洗えるスマホを遥かに凌駕するものだ。

例えば業務スーパーに心躍るように、ホームセンターや東急ハンズの業務用工具に胸トキめかせるように、人は付加価値よりも専門性の方に心ひかれるものなのではないか、とかなんとか、ゆで卵器のamazonレビューを読みながら考える冬の夜。